Yield-bearing (利回り保証型) DeFiトークン ERC-4626
要点
- Yield-bearing (利回り保証型) DeFiトークンの新しい規格であるERC-4626が決定しました.
- ERC-4626は,Yield-Bearingトークンをより安全で他のDeFiプロトコルに統合しやすくすることを目的としています.
- Yearn Finance,Alchemix,Balancerなどいくつかのプロトコルが,ERC-4626標準の実装を計画しています.
https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-4626
はじめに
通常のトークンはERC-20規格,今話題のNFTなどにはERC-721またはERC-1155などが使われています.今回の提案はDeFi Vaultプロトコルで提供されるYield-Bearing トークンに特化した標準規格を策定するものです.それはERC-4626と呼ばれ,DeFiのコンポーザビリティ問題を解決し,利回りの高いトークンをより安全なものにするのに役立つと考えられます.以下にERC-4646 について紹介していきます.
ERC-4626とは?
Fei Protocolの共同創設者であるJoey Santoro氏が1月に初めて提案したERC-4626は,DeFiプラットフォームで使用されている無数の異なるYield-Bearingトークン (利回り保証型トークン)を標準化しようとしています.現在,ERC-4626の規格が確定したことで,複数のDeFiプロトコルはこれを統合する準備を進めているようです.
現在,DeFi Vaultプロトコルの開発チームは、主に独自のソリューションを使用して,利回り生成を管理しています.このアプローチは現在一般的な方法ですが,いくつかの重大な欠点があります.各DeFi Vaultプロトコルのコードにはわずかな違いがあるためYield-Bearing トークンを異なるDeFi Vaultプロトコル間で相互作用させるには,多くのリソースが必要となることです.さらに,より複雑な回避策がコードに実装されることによってDeFi Vaultプロトコルはより多くの潜在的な脆弱性にさらされることになります.
例えば,昨年2月に発生したRari Capitalに対する攻撃は、同社のAlpha Finance yield-bearing ibETH token vaultを管理するコードに起因する脆弱性を利用したものでした.Rari CapitalはibETHトークンに組み込まれている特定の機能を知らなかったため,無意識のうちに脆弱性を作り出しハッカーに利用されてしまいました.もし,Yield-Bearingトークンが標準化されたモデルを使用していれば 開発者が潜在的な脆弱性を見落とす可能性ははるかに低くなるはずです.
Alchemix社の共同設立者であるScoopy Trooples氏は、Santoro氏が提案したERC-4626に対して,“Omg I want this now so bad(なんてこった.今すぐ欲しい!)”と述べています。“Alchemix v2の最大の問題は、すべての異なるYield-bearingトークンの統合が,監査を必要とする特注ソリューションを持っているという事実です.もし標準化されていれば,(監査は)1回で終わるでしょう"と彼らは説明しています.Alchemixは,イールド生成戦略において複数のプロトコル契約と相互作用する,いくつかのDeFiプロトコルの1つです.
ERC-4626標準を採用することで,開発者はYield-bearingトークンを他のDeFiプラットフォームに統合しやすくし,より安全にすることを目指しています.DeFiプロトコルのYearn Financeが火曜日に投稿したTwitterスレッドによると、Alchemix、Balancer、Rari Capital、Fei Protocol、OpenZeppelinなど複数のプロトコルが、確定したERC-4626標準の実装を計画しているとのことです.
まとめ
私はまだ利用していませんが確かにDeFi Vaultプロトコルを使用する上でそのトークンの標準規格ができるのは良いことです.こうすることによって開発者はより標準化された実装に従ってプロトコルのコーディングと監査を行うことが可能になり潜在的な脆弱性を発見しやすくなります.このように標準規格トークンが出来てくれるとリスクが軽減されより安心してDeFi Vaultを利用できるようになると思います.個人的にはリキッドステーキングでも標準トークン規格を作ったほうが良いのではないかと思いますが,そちらの標準化はこれからの課題でしょう.個人的にAlpha Finance, Balancerに投資をしようか迷っていますが,ERC-4626への対応が完了して様子を見てから投資判断を決定したいと思っています.
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