2022年3月現在のETHマイニング採算性の状況

はじめに

Ethereumは最終的なパブリックテストネットでのテスト前段階のKilnでいくつかの小さな問題は見つかったものの無事PoWからPoSへの移行ができたと報告されています.いよいよ数ヶ月以内にメインネットでもPoSをデプロイする目処がついたということは,E T Hマイニングも数ヶ月以内に終了する可能性が高くなったことを意味します.Googleの検索トレンドでも”Ethereum Merge”が3月28日にピークを迎えました.一般人や普通の経済ニュースでも取り上げられる状況なので注目度の高さが伺えます.その影響もあってGPUの値段もだいぶ落ち着いてきて北米では中国への制裁関税撤回のニュースと相まってNvidia 系のGPUの値下げを4月以降に行うアナウンスをASUSが発表するなど状況は改善してきました.Ebayでは個人マイナーが撤退してG P Uの売却を急いでいるような兆候が見られますが,3月現在のETHマイニングの採算性は1月,2月よりだいぶ回復してきました.今回は急遽購入した追加機材の紹介とETHマージ後の計画を説明します.

追加購入機材

近所のパーツショップのホームページを頻繁にチェックしていますが,時々オープンボックスで破格の値段で売られている場合があります(オープンボックスとは新品を購入して15日以内に返却されたものです).先週ぐらいにRX6800xtのオープンボックスが通常価格から300 USD以上割引されていたので急遽購入しました.購入時の値段は860 USD (新品は1150 USDぐらい)で在庫セール品の999 USDと比べても100 USD以上安かったのでだいぶお得だったと思います.

もう一つは中古市場で出回るRTX3070のNon-LHR版で,こちらはebayのリスティングで800 USDを切っていたので購入しました.購入価格は760 USDで直近の落札価格を見る限りでは最安値でした.OC設定の最適化はまだですが,とりあえずRadeon Vega系の古いカードと入れ替えて稼働させています.先月ぐらいからrx6900xtとrx6800xtの値段の逆転現象が生じており,RX6900xtは最安のものは1050 USDで売られています.これはBig Naviのリフレッシュ版が発売予定されている影響でしょう.ただしBig Navi世代のGPUはマイニングの電力効率は上位モデルに行くほど悪化します.これはプロセッサ数が多いためでメモリ帯域で性能が制限されているので,プロセッサユニットの処理性能の向上はそれほどハッシュレートに影響を与えないためです(大容量キャッシュメモリもETHのマイニングアルゴリズムではほとんど性能向上に結びつきません).GDDR6搭載のカードの場合はクロック周波数と接続バス幅でメモリ帯域が決まるのでそれで性能上限が自動的に決定されます.メモリ帯域向上が目的なら本来であればHBM2EやHBM3などが望ましいわけですが,そちらはパッケージング技術に特殊な工程が必要なために1000ドル以下で売られているコンシューマー製品には採用されていません(HPC用途のGPUには採用例としてNvidiaのH100やA100などがあります).

今回の入れ替えで計画通り,効率の低いVega世代は引退させる予定です.残るはRX580のカードですが,こちらはRX5700xtあたりと交換しようと計画しています.まだターゲット価格までebayでの取引価格が下がっていないので,後1ヶ月ぐらい待つ予定です.

今回手に入れたASUS Dual RTX3080-8G (Non-LHR)
ハッシュレートはほぼ一緒でした


今後の計画

ETHが終わった後にハッシュレートの上昇具合を見ながらETCかRVNあたりに切り替える予定です.ETCにはETHのDAGサイズ の増大によりメモリ容量が5GB以上必要になるため5月ぐらいには大量の古いASICマイナーが流入してくる可能性があり,そちらも状況次第では考慮に入れる必要があります.

個人的には深層学習の研究用にも使えるのでRTX-3080LHRのカードをRTX-3090に入れ替えたいですが,そちらも中古価格が下がるのを待っています.今朝の市場価格を見る限りでは2020年末以来,小売店で最大の値引きが行われました(RTX-3090 SKUによりますが最大-200USD程度).

ちなみにRTX-3090TIが無事発売されて,私の近所のパーツショップでも在庫されているようです.Youtuberのテスト結果を見る限り,ハッシュレートは130〜140 MH/s,その時の消費電力は350 Wぐらいのようです.最適化の余地はあるでしょうが,オーバークロックさせて安定動作させるのは消費電力的にかなり大変そうです.ゲーミング性能は10%上昇程度,CUDAのベンチマークスコアもそれぐらいの上昇になることが予想されます.通常使用時のピーク消費電力は400Wattまで達するので電源はPCI-E 8pinを3本!接続させる必要があります.単純計算で33 Aの電流が必要になるので,きちんと3本とも接続させないと最悪ケーブルの焼損に繋がるレベルです.したがって今のところマイニング性能と消費電力のバランスはRTX-3090の方が良さそうです.

またETHのマイニング終了後のオプションとしてマイニングファームの規模縮小も戦略としては一番有効なのかなとも考え始めました.DeFiでの運用利回りがかなり高いので,保有機材の一部を売り払って有望そうなプロジェクトへ投資するのもありだと思ってきました.全てはマージ前後のその他の体力のあるマイナー達の行動次第といったところでしょうか.ちなみに私は今回2枚の追加GPUを購入しましたが,おそらくROIは3ヶ月で黒字になる予定です.余っているGPUで購入資金を回収すれば約1ヶ月で回収可能です.採算性はまだまだ高く,ギリギリまでETHマイニングを続けようと思っています.



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