はじめに
最近, Defi kingdomなどのplay-to-earnが流行しています.その一種としてmove-to-earnが登場しました.これは要するにユーザーは体を動かした分,歩数に応じた何らかの暗号資産で報酬を受け取ることができるゲームです(ヘルストラッキングアプリの進化版ですね).これらはお金を稼ぎたいという思いが,人々に影響を与え,より健康的なライフスタイルを送るようになるのでしょうか?今回は,今現在,Move-to-Earnを実際にブロックチェーン上で動かしているサービスと,これから予定しているものなどを一緒に紹介しようと思います.
STEPかSTEPNか?シンプルさ vs. NFT
実際にApple アプリストアなどで探してみると,有名なMove-to-Earnの代表格であるSTEPNとそれと似た名前のSTEPという2つのプロジェクトが目に止まります.両方とも体を動かして,歩数を稼ぎ,それが暗号資産である独自トークンに交換可能であることは共通していますが,しれ以外はかなり異なったシステムとなっています.
STEP
このプロジェクトのアイデアはすごいシンプルで,ユーザーは、歩くことで毎日報酬を得ることができます.参加するためには,ユーザーは以下の条件をクリアする必要があります.
- ユーザーは、iOSとAndroidデバイスで利用可能なSTEPアプリをダウンロードし,自分の活動を追跡することを許可する.
- BNBウォレットのアドレスを入力し,18,000 STEPトークン(現時点で約626USD)以上を入金が必要.
- 賞品配布に参加するには,ユーザーは最低4,000ステップをこなし,毎日アプリケーションを同期させる必要あり.
- 1日に受け取れる報酬の上限は10 USD.30000ステップを達成すれば,手に入れるチャンスがある.
報酬は毎日,BNBの形でユーザーのウォレットに支払われます(現在はSTEPトークンに変わったという情報もあります).
報酬プールは,トークンを売ったり買ったりするときに課金される手数料から賄われているようです.そのため,同じステップ数を達成しても,日によってユーザーに与えられる報酬が異なる場合があります.
18,000STEPトークンの価格は現在約626ドルであり,このプロジェクトに参加するための敷居は比較的高いものとなっています.それ相応なコミットメントをすれば,わずか2~3カ月で同額を稼ぐことができる計算のようです.
開発者は,STEPトークンの評価額の上昇に伴い,報酬に参加するために必要なトークン数を減らすと発表しています.STEPトークンはPancakeSwapのような人気のある分散型取引所で購入することができます.さらに,このプロジェクトではステーキングも可能で,NFTコレクションも近日中にリリースされる予定です.STEPは今年に入ってから開始され,徐々に利用者が増えています.
プロジェクトの公式サイト:https://www.walkwithstep.io/
注意点:監査レポートなどを見ましたが一応真面目に開発しているプロジェクトのようです.リワードの量も持続可能な範囲内ですし,怪しい点は今の段階では見つかりませんでした.ただしBSC上で動くもしくはリワードのみの支払いオラクルとDappが搭載されているだけのようなのであまり技術的には興味をそそられないプロジェクトです.Avaxで動いていたら参加していたかもしれませんが,現状では参加は見合わせる予定です(気が変わるかもしれませんが).
STEPN
これが現時点では最も成功したMove-to-Earnのプロジェクトでしょう.ゲーム内で配られるトークン価格が3月上旬に十数セントだったものが,現在は3ドル以上に急騰し,まだまだユーザ数を増やしています.
このプロジェクトはSolanaブロックチェーンをベースに,NFT,GameFi,SocialFiの要素を組み合わせている特徴があります.報酬を得るためには,ユーザーはNFTの形でスニーカーを購入し,毎日のウォーキングを開始する必要があります.
シューズは,ウォーカー,ジョガー,ランナー,トレーナーの4種類から選ぶことができます.シューズの価格は,スタイル,希少性,レベルによって異なります.ユーザーは,スニーカーをレベルアップさせたり,修理したり,宝石でスニーカーの属性をアップグレードすることで,収益を上げることができます.スニーカーは使っているうちに傷んでくるので,獲得したトークンの一部は修理に使わなければなりません.
基本的なスニーカーNFTは,およそ12SOL,現在の価格で約1200 USDをユーザーが支払うことでプレイ開始になります.さらに,ゲームを始めるには,ユーザーはアクティベーションコードを持つ必要があります.他のプレイヤーからもらうか,開発元が毎日配布しているものを探し出してください.ただし,コードはすぐに広まってしまうので,早めに入手する必要があります.
注意点:日本でもかなりのユーザー数がおりとりあえず詐欺的なプロジェクトではありません.Solanaブロックチェーン上で動作しているので私はやりませんが,リワード額もかなりのものなので資金に余裕がある方はやるのは問題ないでしょう.
SweatCoin
前回の記事で書いた通り,今年の夏頃にNearブロクチェーン上で新たなSweatトークンを発行予定です.現時点ではただのヘルストラッキングアプリにゲーム要素とポイント還元機能があるだけです.ただし,開発元はブロックチェーンへの対応を2018年当時でも言及していましたし,現在のようにいくつもの高速PoS型のL1チェーンが出てきたお陰でそのアイデアがやっと現実のものとなるようです.
こちらは参加条件は緩めで,初期のデポジットも必要なく,始めたいユーザーはただアプリをスマホにダウンロードしてユーザー登録を行い毎日歩数を稼いでそれに応じたSweatCoinを獲得するだけです.1000歩で1SweatCoinがもらえる計算ですが,毎日20分間だけ2倍のSweatCoinが獲得できるブースト機能があります.
IPhone+Apple Watchユーザーであれば,HealthKitを有効にすればApple Watchとも連携しているようです.
アプリにNear Walletが組み込まれたり,NFTが獲得できる可能性もありますが,詳細はまだ発表されていません.おそらく立ち上げが今年の夏頃でトークンへの交換が可能になってから徐々に機能を実装していくと考えられます.
JustMove
こちらもSweatCoinと似たプロジェクトでまさにこの記事を書いているところで始めてみました.こちらは歩数を稼ぐとBitcoinがもらえるというフィットネストラッキングアプリになります.Walletを覗いてみると謎のトークンも記載されているので将来拡張していくのかもしれません.仕組みがよくわからないのと地域別の制限はあるかもしれません.とりあえず米国のオハイオ州では使えるようです.
始めるのに資金デポジットやNFTなどは必要ありません.気軽に始められる一方でリワードは少額です.これから使ってみて後ほど詳しいレビューを載せようと思っています.
Attain
こちらは,Aetnaという大手医療保険会社が提供するフィットネストラッキングというよりは健康促進プログラムの一環として提供されるスマホ上で動作するHealthトラッカーアプリです.現時点では暗号資産やPlay-to-Earnに全然関係してませんが,一つのモデルケースとして紹介します.
まず参加にはAetnaの保険加入者であること,iOSデバイスとApple Watchが手元にあることが前提になります.新規加入ボーナスポイントをもらう代わりにそれをApple Watchの購入補助をもらうことも可能なようです.
さてこちらはさすが大手の保険会社が提供するだけあってリワードはかなり貯まります.具体的には1日の消費カロリーの目標を設定してそれをクリアできたら毎日10ポイント,連続して6日間それを一週間で達成すると2000ポイントがもらえます.その他,”Healthy action”欄に出てくる課題をクリアすると75から2000ポイントもらえます.貯まったポイントは,各種ギフトカードに交換可能でAmazon Giftカードにも対応しています.レートは,1000ポイントで1USDで,毎日摂取カロリー目標や表示されるアンケートなどに答えていれば一月で25000ポイント(25USD相当)のリワードが稼げます.SweatCoinなどと比べると圧倒的にリワード量は多いです.
将来的にはこういったヘルストラッキングアプリも暗号資産プロジェクトで実現される可能性はあります.特にAetnaは大規模な臨床データの収集も同時に行っています.加入者がどれぐらいいるかわかりませんが,このアプリで取得されたデータを使って保険のプレミアム計算と支払う保険料を抑制しようとしているのでしょう.こういったデータは匿名化されているのでしょうが,本来なら公共の福祉のために利用されるべきでそれをweb3技術は可能にするはずです.研究者は臨床データとしてZK proofを通して利用できるようにすればデータの匿名性と安全性は高まるでしょう.将来的には何かPlay-to-EarnのDAppで医療保険の高騰などの問題を抱える米国市場で破壊的なイノベーションを起こしてくれないかと密かに期待しています.
まとめ
STEPNはBinanceのサポートも効いたのかかなりのユーザー数を抱えるまで成功しました.その成功を真似するプロジェクトはこれから続々と出てくるでしょう.フィットネストラッキングアプリとこういったトークンを獲得できるDAppは非常に相性が良いので,ゲーム要素を加えることで更に新しいユーザーを惹きつけていきそうです.
また現在のNFTを購入するモデルは将来的にリアルなスニーカーを提供するメーカーとのコラボでN F T購入時に本物の特注スニーカーを提供するビジネスが立ち上がる可能性があります.こちらはすでにウィスキーで行われており,NFTを使った面白そうなプロジェクトはまだまだ考え出せそうです.
ヘルストラッキング系は個人的にはかなり期待しています.Apple Watchを一年使ってますが,これだけ簡単にリアルタイムにバイタルサインがモニタできるデバイスがあるのなら,これを臨床研究や糖尿病などに代表される生活習慣に起因する疾患予防が期待できるでしょう.そこにweb3の技術を組み込めば,パブリックブロックチェーンの応用例として格好の題材になりそうです.こちらはこれからの発展に期待です.もしかしたらすでに誰かがプロジェクトを立ち上げ済みかもしれません.
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