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3月, 2022の投稿を表示しています

 速報 Axie InfinityのRoninチェーンが6億2千万ドルのハッキング被害

事件概要 EthereumサイドチェーンでGameFi最大手Axie Infinityで大規模ハッキング事件が発生しました.盗難規模は6億2千万ドルに及びます. https://roninblockchain.substack.com/p/community-alert-ronin-validators?s=w 以下は運営側の発表です. 原文: Key Points     The Ronin bridge has been exploited for 173,600 Ethereum and 25.5M USDC.     The Ronin bridge and Katana Dex have been halted. We are working with law enforcement officials, forensic cryptographers, and our investors to make sure all funds are recovered or reimbursed. All of the AXS, RON, and SLP on Ronin are safe right now. There has been a security breach on the Ronin Network. Earlier today, we discovered that on March 23rd, Sky Mavis’s Ronin validator nodes and Axie DAO validator nodes were compromised resulting in 173,600 Ethereum and 25.5M USDC drained from the Ronin bridge in two transactions (1 and 2). The attacker used hacked private keys in order to forge fake withdrawals. We discovered the attack this morning after a report from a user being unable to withdraw 5k ETH from the bridge.  日本語訳:

ステーブルコインの種類と利用方法

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はじめに 暗号資産を始めたいけれど,そのボラタリティー(価格変動)の高さで敬遠している個人投資家も多いことでしょう.このボラタリティーの高さが初期の投機目的で暗号資産へ投資をしていた人々を惹きつけていた要因でもありますが,余剰資金を貯めて増やしたい一般の人にとってはリスクが高すぎて参入を躊躇う主な要因でもありました.ステーブルコインは暗号資産へ投資は行いたいけれどもボラタリティーのリスクを抑えたい投資家の需要に応えるものです. 一般的にステーブルコインはBTCやETHとは違い法定通貨(ほとんどの場合USD)に1:1にペッグする形で提供されるので下落局面で一時的に資金を引き上げる場面などで便利な存在です. また一般の決済に使用する場合には送信主と受信者両方とも価格が安定している方が都合が良いことが多いです.そのような理由から,暗号資産の取引や利用を活性化させる非常に重要な存在です.現在,市場には様々なステーブルコインがすでに存在しており,今回は簡単に分類とそれぞれの特徴を紹介していきます. ステーブルコインの種類 ステーブルコインにはざっくりと以下の3種類に分けられます. 法定通貨担保型 – USDT (Tether), USDC(Circle), TUSD (TrueToken), GUSD(Gemini) 暗号資産担保型 – DAI (MakerDAO), aUSD (Acala) 無担保型 – UST (Terra),TITAN(消滅しました) 簡単に表にまとめるとそれぞれ以下のような特徴があります. 法定通貨担保型 歴史上,一番最初に登場したのがUSDTでこれは発行主体はTether社になります.流通量もすごい額で現在時価総額で約10兆円規模に到達しています.裏付けになる資産はUSDと等価物となっていると説明していましたが,最近の監査結果などが公開されそのほとんどをC P (コマーシャルペーパー→社債のことです)で保有していることが報告されています.様々な噂が燻り続けており正直,実際どれだけ裏付け資産を1:1の割合で保持されているのかどうかは暗号資産界隈では長年議論され続けています. 一方で比較的,透明性があるのはUSDCでこちらはCircle社が発行を行っています.現在も定期的な監査で十分な情報開示が行われており,将来的には米国債で裏付け資産のほとんどを保有

Polkadot基盤のDeFiハブ ACALA (ACA)とaUSDの概要解説

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はじめに 昨年末に注目を集めたPolkadotのパラチェーンオークションで記念すべき初のパラチェーンとしてオークションを勝利したのはAcalaプロジェクトです.AcalaはPolkadot基盤のDefiハブを目指すプロジェクトでステーブルコインのaUSD を発行及び流動性提供や分散型ファンドを実現しようという大変野心的なプロジェクトです.私もPolkadotには非常に注目しており,実際にAcalaのプログラムにも参加した経緯があるのでその内容も含めて今回はAcalaの紹介をしたいと思います. Acalaの特徴 名前からしてすごいですが,Acalaは不動明王のサンスクリット語表記です.Googleで検索する時は”Acala cypto”を入力してください.でないと不動明王の画像がいきなり引っかかります笑. 公式websiteは https://acala.network/ ですでにPolakadotからDOTを転送するブリッジ機能を備えたAMM型取引所のDAppであるAcala sSwapが立ち上がっています( https://apps.acala.network/ ). ちなみにKusama上でもパラチェーンを持っていて、そちらはKaruraという名前のプロジェクトになります.プロジェクトの目的はずばりPolkadot上のDefiハブになることで現在は異なるブロックチェーンのDeFiユーザーや開発者がスケーリング問題やガス代高騰などを気にせずにAcalaネットワークに移行できる環境を整備しています. ちなみにセキュリティーはPLOの仕組みによりクラウドローンで集まった大量のDOTをロックすることによって担保されており,Polkadotの強固なセキュリティー基盤を共有することで実現され得ています.そのため後ほど説明しますが、インフレーション型のトークン発行やステーキングを提供する必要がなくネイティブトークンであるACAは流通量がすでに決められており分配方法もすでに決定されています(ガバナンス投票次第ではこれから配る部分は変更される可能性あり). ETH互換のレイヤー1チェーンの仕組みとスマートコントラクト Polkadot上で動作するAcalaチェーン自体はEVM互換のスマートコントラクトに対応しており,イーサリアムとの互換性を備えています.このEVMはPolkado

DeFi研究 DeFi Llamaでの情報収集

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はじめに DeFi分野に参入するとものすごい数のプロジェクトが存在していることに驚かされます.もともとはETH基盤でのDappによって始まったDeFiの爆発的人気の上昇で現在のように様々なレイヤー1チェーンでDeFi関連のDappが立ち上がっていきました. レイヤー1だけで分類するだけでも大変ですが,それぞれで立ち上がっているサービス全てを網羅するのはたぶんほとんどの人にとって不可能でしょう.今回はそういうカオスなDeFiの世界の情報を収集するのに便利なDeFi Llamaを紹介します. DeFi Llamaとは? 公式サイトはhttps://defillama.com/で公開されています.各DeFiプロジェクトのTVL(Total Value Locked)アグリゲータ情報をオープンに公開するサイトを運営しています. DeFi Llamaのトップページ  Uniswapの統計情報表示(Uniswap.info)と似たデザインを採用しており,各レイヤー1チェーン,TVL,トークン付与の有無などで分類して情報表示させることが可能です. サイト情報のAboutを覗いてみると以下のようなミッション・ステートメントが書かれています 原文(英語) Mission DefiLlama is the largest TVL aggregator for DeFi (Decentralized Finance). Our data is fully open-source and maintained by a team of passionate individuals and contributors from hundreds of protocols. Our focus is on accurate data and transparent methodology. We track over 800 DeFi protocols from over 80 different blockchains. 日本語訳 ミッション DefiLlamaはDeFi (Decentralized Finance)のための最大のTVLアグリゲータです.私たちのデータは完全にオープンソースで,何百ものプロトコルの情熱的な個人と貢献者のチームによって維持されています. 私たちの焦点は,正確な

Coinbase OneとLiteCoinのMimbleWimbleアップデート

Coinbase Oneのベータ提供開始 今朝のことですがCoinbase Appを開いたら案内状が届いており,CoinbaseOneという新しいサービスを限定公開で提供している内容でした.調べてみると,ベータ版のサブスクリプションサービスで以下のような特典が受けられます. 100万ドルまでの不正出金による被害補償 24時間の優先サービス 取引手数料無料 サブリスクリプションの契約と解約はいつでも行なえて月額29.99ドルのプランになります.これを高いと思うかは人それぞれだと思いますが,一般的なFDICによる銀行や証券口座の保険は最大100万ドルでほぼ同等の預金保険が受けられることと24時間の専用優先サービスが提供されることを考えると悪い選択肢ではありません. これで一般の銀行預金や証券口座と同等のセキュリティーを担保しつつ暗号資産を安全にCoinbaseプラットフォーム上で保持することが可能となりました.取引手数料が無料になるのは今の主流で将来的に取引手数料を収益源にするモデルは成長限界があることから今回のサブスクプランの提案になったのでしょう.Coinbaseはいままで大きなハッキング事件を起こしていない取引所の一つで上場企業であることから伝統的な金融分野をDeFiなどと繋げる上で重要な存在でしょう. もちろんこういった保険部分はこれからDeFiなどで解決されなければならない課題のひとつで完全分散化されて中央管理者を介さない場合でもスマートコントラクト上で保険契約と執行を実現されるのが理想ですが,こういったCeFiによるサービスは過渡期の妥協策としてありだと思いました. 私は早速申し込んで,BlockFiからの大部分の資金を引き上げる予定です.ETHに関しては一部はいつでも動かせるようにVault口座へ保存,残りのほぼすべてはETH2.0に移動させることを決断しました.BTCは担保にしてUSDCをCoinbaseの貸し出し機能で借り入れようかと計画しています.WBTCにスワップしてAAVEという手もありますが,トークンスワップはたとえラップドトークンでも課税イベントと見なされる可能性が高いのでCoinbaseの貸し出しサービスが一番自分の状況には合っているのかなと考えています. ちなみに私はCoinbaseの株式も保持しています.上場企業として見た場合,取引手数

Solana基盤のステーブルコインプロジェクトCashioハッキング発生

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はじめに Wormhole事件でSolana-ETHブリッジの脆弱性をアタッカーに狙われ多額のETHとSOLが盗まれた事件がありましたが,今度はSolana基盤のステーブルコインプロジェクトであるCashioで無限ミントグリッチによってCASHトークンの価値が1USDからほぼゼロにまで急落する事件が発生しました.正直またかと思いましたが,2800万ドル相当がハッキングにより流出したのが原因のようです. Cashioハッキング事件の現在までの経緯 ソラナ基盤のステーブルコインを発行するプロジェクトで2021年11月にリリースされました.SaberでUSDT-USDCの流動性提供のLPトークンをデポジットすることで誰でもUSDにペッグしたCASHトークンを発行できるのが特徴です.SaberはUniswapのようにAMM型の分散型取引所をソラナ上で提供するDappのことです. 今回の攻撃手法は,スマートコントラクトコードの脆弱性を突いて担保を提供せずに多量のCASHトークンをミントすることが行われました.Solscanを見るとアタッカーが20億CASHを発行し,全てを他のステーブルコインにSaber上でスワップしたのが分かります.Saberはこの事件発生直後にCASH関連の流動性プールすべてを停止したとアナウスしました. この結果,1USDにペッグされる CASHトークンは一気に0.00005 USDまで下落 することになりました(記事執筆時点では0.000098 USDまで回復してます). Cashioの開発者である0xGhostChainはCASHのミントを行わないように注意喚起し,開発チームが事件を調査中であると発表しています. 前回Wormholeハックでも技術的なハッキング手法の詳細を紹介していた Samczsun氏が今回も事件の原因と攻撃手法について報告 しています( この人はやけに詳しいなと思ったらParadigmともリサーチ契約してるようです). 昨年似たような事件でいくつかのDefiプロジェクトでハッキングが発生していますが,これほどの被害規模になったのはソラナ人気のためで皮肉な結果となりました. CryptoBriefingの記事 によれば最近発生したNFTのラグプルに関連した犯人と同一犯である可能性が指摘されています.OpenSeaで同一人物がアカウ

Uniswap V3で流動性提供を解説 (Polygon版)

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はじめに 前回の投稿で今年はマイニングで得たWETHをUniswap V3上で流動性提供をしてDeFi運用すると紹介しました.Uniswap V3の最大のアップデートポイントは価格レンジを指定して集中的に流動性提供を行える点です.こうすることで資本効率を高めることができ,流動性マイニングで得られる利益を最大化できます.しかしこの適正な価格レンジを決めるのが結構厄介で私も最初戸惑いました.ここでは流動性マイニング提供をこれからUniswap V3で始めようという場合に参考になるツールを紹介します. Uniswap V3の特徴 レイヤー2への対応はもちろん注目すべきポイントですが,最大のアップデートポイントは集中型の流動性提供です.Uniswap V2までは,例えばETH-USDCのペアで流動性提供を行う場合には全プライスレンジでしか流動性提供を行えませんでした.つまりは取引価格に関係なく1ETHと2700USDCを流動性提供すると0 USDから無限大までカバーするという仕組みです.この場合は流動性の提供は簡単で50:50でETHとUSDCをロックするだけでした.しかしこれでは,スワップ時に取引されるのはその時のETHの時価を中心とした流動性プールの一部しか使われません.これではロックされている資本に対して取引される資本の効率が悪いということで,Uniswap V3では指定プライスレンジに集中して流動性提供を指定できるようになりました.こうすることによってより集中した流動性提供が可能になり多数の取引が行われても価格のスリッページ(相場価格からの乖離)を防ぐことも可能になりました(もちろん限界はあります). もちろんリスクフリーではありません.いわゆるインパーマネントロスのリスクは増大します.ただこの仕組みによって今までよりも高い利率で流動性提供のリワードをもらえるようになりました.その他としては流動性プールの手数料が選べるようになったことで0.05%,0.3%, 1%から選択可能になっています.また流動性提供の証明は何かと話題のNFTで発行されます.あまりやる人はいないと思いますが,このNFTをマーケットで販売することも可能です(別のプラットフォームですが).商用利用に関してはビジネスソースライセンス1.1という形でリリースされています.これはSushiSwapなどのコ

国際金融秩序の再編, インフレーションとリスクヘッジとしてのビットコイン投資

 はじめに ロシアのウクライナ侵攻が現実に起きて,G7諸国は今まで禁じ手とされていた外貨準備金の凍結という異例の経済制裁をロシアに課しています.経済制裁の効果はまだ出ていませんが,ウクライナ軍の激しい抵抗とNATO周辺諸国の軍事物資支援のおかげでロシア軍の侵攻は首都キエフ包囲までこぎ着けましたが,総攻撃をかけるのをためらっている状況のようです.キエフが仮にロシアに占領されて親ロシア傀儡政権を樹立したとしてもウクライナ全土をあの戦力で占領し続けるのは限界があるので,長期化は覚悟する必要がありますが最終的にはロシアはウクライナから撤退を余儀なくなれるでしょう(ただし東部の親ロシア地域とクリミア半島は死守すると思います).ロシアがすでにこの戦争で負けていることはYuval Noah Harari (サピエンス全史の作者)が The guardianでの寄稿記事 で紹介しています. 尚全文の 日本語訳が河出書房からすでに公開 されているので,そちらの記事を読んでみてください. この戦争のによってロシアはイランや北朝鮮と同様に扱われるのは確実ですが今回のG7によるロシア側への経済制裁は大きな転換点になった可能性があります. インフレーションの悪化 もともとはCOVID-19パンデミックの影響で始まったサプライチェーンの混乱(物流,資源の高騰,需要と供給のミスマッチ)ですが,恐ろしいことにこのタイミングでロシアがウクライナ侵攻を行ったために混迷の度合いをさらに強めてしまいました.現在起きているインフレーションの原因は明らかに原材料の高騰,都市封鎖などで製造工場の操業停止,物流の混乱といった供給制約に起因するものです.ではこれは各国中央銀行の利上げによって,抑え込むことはできるのでしょうか?私は非常に悲観的な状況だと考えています. 原材料の高騰 ロシアに厳しい経済制裁を課した影響で,原油の先物価格は最高値をつけました.これは一時的に改善しますが,今年中は上昇トレンドが続くのはほぼ間違いありません.特に欧州はロシア産ガスや石油への依存度が高くイギリスはなんとか年内に中東と米国産のLNGやシェールオイルに切り替えできても東欧諸国とドイツは数年以内に実現するのはほぼ不可能です.なぜここまで依存度を強めてしまったかと疑問が湧いてきますが,ロシア産のガスや石油はパイプラインで欧州各国に運ば

ETHの"The Merge"スケジュール予想

はじめに 皆様もニュースで見かけることが多いと思いますが,Ethereumは現在のPoWからPoSへコンセンサスアルゴリズムをマージするハードフォークが控えています.もともとのスケジュールでは2021年の12月にリリースされる予定でしたが, コンセンサスレイヤー のコーディングが終わらず,今年のQ2に延期された経緯があります. さて,私はETHに投資しており保有暗号資産の7割がETHですが,同時にETHのマイニングも行っています.今年の収益性を考える上でPoSへの切り替えはビッグイベントでその予想時期を考察してみました. The Merge ETHが立ち上がった当時からもともとPoSへ移行することは計画されていました.しかし実装は思うように進行せず,何度も実装時期が延期されてきた経緯があります.ETHがこれからさらに発展していくためにはPoSへのコンセンサス・アルゴリズムの切り替えとシャーディングの実装は非常に重要なマイルストーンになります. 昨年末ぐらいから大きな進展があって,ついに2022年Q1で最終的なコードが完成しました.私は職業プログラマーではないので内容の詳細はわかりませんが,ここからテスト環境(テストネット)で多数の一般ユーザーに使用してもらってバグがないか確認を行います.先週の金曜日に無事Kilnテストネットが立ち上がりやっと最終テストが始まった段階です. では,致命的な脆弱性は発見されていないのでしょうか? 実はすでに報告されていました.詳細は以下の論文に掲載されています. Joachim Neu et. al., “Two Attacks On Proof-of-Stake GHOST/Ethereum”, arXiv:2203.01315.  コーネル大学のグループによる報告で内容は精査していませんが,ハッキング可能な脆弱性が見つかったと3月2日に掲載されています(これはテストネットがリリースされる前).しかし,ETHの開発者の対応速度はすさまじく,この脆弱性報告がなされてから数日でパッチの実装を終えてしまいこの論文で懸念される攻撃手法はもう防止済みのようです.とりあえず最終テストネットによるテストは現在も進行中です. Kiln テストネット いままではKintsugiと呼ばわれるテストネットでしたが最終版をテストするKilnテストネットが3月

なぜSolanaとBNBへ投資を行わないか?

 はじめに 前回の投稿で,今年はDeFiへ本格参入すると紹介しましたが,そこで下調べした結果,SolanaとBNBは選択肢から外したと報告しました.ではなぜ自分はこの二つに投資しない決断に至ったか思考をまとめる意味で紹介します. BNB (Binance Smart Chain)の不適格理由 私はブロックチェーン技術で最も大切な部分は分散性とセキュリティーだと考えています.これがインフラ部分を担当するレイヤー1チェーンの場合には最もコアになる部分でセキュリティー, 高い耐障害性, 耐検閲性を実現しています.これらはスケーラビリティーとトレードオフの関係にあって全てを両立することは現在の技術では不可能です.これはブロックチェーンのトリレンマとして有名で,“セキュリティー”,“分散化”,“スケーラビリティ”は同時に2つの要件までしか満たせないという理論です.ETHのレイヤー1はこのうち”分散化”と”セキュリティー”を満たすように設計されています. その点でBinanceという発行主体が存在するBNBは不適格です.なぜならプロトコルの設計や運営にはBinanceとその利用者の意見が意図していなくても優先される可能性が高いからでこれは“スケーラビリティー”と“セキュリティー”を満たしていますが”分散化”が損なわれています.もちろんEVMとの互換性を備えたBSCは数年前までなら過渡期の妥協的な産物として許容されたでしょう.しかし現在,ETHはレイヤー2技術でスケーラビリティ問題をある程度解決できる目処が立ちました.こうなればわざわざBSCを利用しなくても同じようなユーザービリティーやコストでETH上で走るDappが利用できるようになっていくことが予想されます.それならわざわざ最も重要な分散性に問題があるB S Cを使う必要ないというのが私の考えです.ある種の思想の問題でもありますが,今はまだ過渡期でありますし,BSCの運営自体が完全なD A O運営に切り替われば状況は変わるかもしれません. ちなみにXRPが不適格なのは上記の考えとほぼ一緒で,発行主体がRipple社という一つの民間企業であることが理由です. Solanaの不適格理由 昨年最も勢いがあったのはSolanaではないでしょうか.メインネットが立ち上がるとあっという間に時価総額トップ10入りしてきたので驚いたのを覚え

2022年の投資戦略(DeFi編)

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はじめに もうすでに2022年もQ1の最終月になっていますが,1 月と2月に情報収集がほぼ完了したので投資戦略が固まりました.今更の感はありますが,セキュリティー対策を徹底した上でDeFiに本格参入してみようと思います.ただし,自分の考え方に沿った形,つまりはweb3.0のインフラ部分に関係するブロックチェーンで構築されたDeFiへ投資することを決めました.具体的にはETH (Polygon L2),COSMOS, Polkadot (ACALA)へ手持ちのトークンとその一部を税金が許容できる範囲でトレードし運用する予定です. Ledger Nano X を導入 こちらは定番のハードウェアウォレットなので昔から知っていましたがオンチェーンで暗号資産を扱うためには必須アイテムなので先月末に購入して設定を終えました.きっかけは,Coinbase Wallet Appが対応したことでそのキャンペーンの一環でCoinbaseエディションを購入しました.もちろんLedgerの正規ネットストアで注文してフランスのパリ本社から発送されてきました(DHLのログが確認できて安心です).こちらもebayなどで安く売られているものもありますが、絶対購入してはいけません.何故なら,すでにシードフレーズを盗まれていると購入後に設定を行って入金すると簡単に悪意を持った相手に資産を抜かれるからです. 購入する場合には正規代理店から新品を購入するのが必須で私はそのセオリーに従いました.実際に届いて中身を確認したのが以下の写真です. 質感はなかなか高級感があって好感が持てます.尚私が購入したのは,coinbaseエディションなので,筐体にはしっかりと”coinbase”と刻印されています.付属品にはUSB type Cのケーブルが含まれていますが,念のためハードウェアウォレットを使うときは必ずこの付属ケーブルを使うようにしています(USB-Cケーブル自体に細工されている場合に備えるため).こちらはKeplerやMetamaskなどのウォレットアプリと連携させて使用します. Defi運用に使うPC環境のセキュリティー対策 Defi運用に使うPCはセキュリティーレベルが高くハッキングリスクを減らせるものが望ましいです.そうなるとまずWindows OS系はターゲットになりやすくハッカー側の攻撃バリエーシ

ウクライナ政府が暗号資産で寄付を呼びかける

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はじめに ロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまいましたが,ウクライナ軍の強固な抵抗により数日で陥落すると見られていた首都キエフはまだ持ち堪えています.今回のプーチン政権によるウクライナ侵攻は現在の国際秩序への挑戦であり,ウクライナの民間人や民間施設(住居,ショッピングモール)への攻撃は明らかな国際法違反であり断じて許されるべきではありません. 米国は経済制裁の一貫として,ロシア中央銀行の外貨準備すら取引制限するなど今まで聞いたことのない制裁措置を発動しています. 完全に世界から孤立したロシアですが,一方でウクライナには世界中から支援が集まっています.そんな中,ウクライナ中央政府が暗号資産での寄付を呼びかけて話題となっています. ウクライナ政府による暗号資産寄付の呼びかけ きっかけは Twitter上で先週から始まった投稿 です.最初は,こういった混乱した状況を利用した詐欺なのかと疑われていましたが,ウクライナ政府公式アカウントであると外交官などから確証が取れ世界中から寄付が集まり始めました. Tweet 全文; "Stand with the people of Ukraine. Now accepting cryptocurrency donations. Bitcoin, Ethereum and USDT." BTC - 357a3So9CbsNfBBgFYACGvxxS6tMaDoa1P ETH and USDT (ERC-20) - 0x165CD37b4C644C2921454429E7F9358d18A45e14 注意事項:送金前にTwitterのオリジナルメッセージからアドレスを再確認することと,送金処理を行った後には取り消せないことに注意してください.現在はメインネットワークで募金を呼びかけているのでETHとBTCの送金の場合には数ドルから10ドル程度の送金手数料がかかる可能性があります. Uniswapはウクライナ政府のためにERC20 トークンのスワップサービス開始 ウクライナ政府は現在ETHとUSDT(ERC20)のみを受け付けているため,その他のERC20トークンでは直接寄付を受けられない状況でした.そこでUniswap LabはERC20のその他のトークンで寄付を行えるよう トークンをスワップしてそのまま送金できる

Nvidiaがハッキング被害、ハッカーがGPUのLHR制限解除を要求

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 はじめに 先週ごろに突然GITHUB上のLHR Unlockerという謎のツールが出現してそれがただのマルウェアだったことが報告されていますが,今度はNvidiaがサイバー攻撃を受けていたことが判明しました. 第一報 は数日前にNvidiaがサイバーアタックを受けて同社のメールシステムがダウンしていることから始まりました. 今日の報道状況を見ると,南米を拠点に活動するハッカー集団Lapsus$によって1TBの機密情報(GPUの開発データ)が盗まれたことが判明しました. Nvidia側はハッカー側にRansomwareによるハッキング攻撃を仕掛けて盗まれた1TBのデータを暗号化することに成功したという未確定情報が流れました.その後これは誤報で実情はNvidiaが自社のVPNを通じて盗まれたデータにアクセスを行い暗号化ロックに成功したようです(ただしハッキングに使われたハッカーのプライベートマシンのみの可能性が高い).Lapsus$はNvidiaの仮想マシンのイメージファイルを盗み出して機密情報へアクセスしていたようですが, Vxundergroundのtweet によると仮想マシンをVPN経由でアクセスするためのMDM(Mobile Device Management)によって暗号化が実行されたようです.いずれにせよハッカー集団側はすでにバックアップした後にロックが行われたと主張しており情報漏洩を防ぐことはできなかったようです. ハッカー側がLHR解除を要求 最新情報によるとLapsus$はNvidia側に該当製品(GA102- RTX3080とGA104 – RTX 3060, RTX 3060ti, RTX 3070)に含まれるLHR(Low Hash Rate)をバイパスするためのデータを公開すると脅しており,さらにNvidia側に自主的にLHRを解除するファームウェアとドライバをリリースするように要求しているようです. ハッカーグループのTelegram上でのやりとり( Videocardzより参照 ) Tomshardwareの記事 を読む限りでは,Lapsus$が盗み出したのは,製品の回路図,ドライバとファームウェアのデータ,ドキュメント,プライベートツール,SDKと“Falconに関する全て”を含む機密情報のようです.特に,FalconはすべてのNvi