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Uniswap 1Q 2022の概観

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 はじめに MessariからUniswap 1Q 2022のレポートが発表されました.今回はそのレポートの注目部分を引用しながら現在のUniswapエコシステムの状況を読み解いてみようと思います. もとになったレポートは以下のリンクから参照できます. https://messari.io/article/state-of-uniswap-q1-2022 レポートの要点 - 2021年第4四半期からの暗号とNFTへの関心の高まりが落ち着き,2022年第1四半期の総取引量と,それに伴う流動性プロバイダーの手数料は減少. - Uniswap on Polygonは有機的な成長を遂げ,V3の非Ethereumプラットフォームとして,稼働が最も遅いネットワークであるにもかかわらず,取引量ではトップとなった.次四半期の流動性マイニングの追加インセンティブは,引き続き成長を促進するものと思われる. - コミュニティは,CeloとGnosis Chainへのさらなる拡張のための領域を模索. - Uniswap Grants Programは,2021年末からの助成金提案が混在するWave 6で史上最大の助成金を交付. Uniswapの概要 UniswapはOptimism,Arbitrum,Polygonなどのスケーリングソリューションとともに,ETHネットワーク上のトークンの取引を促進しています.このプロトコルとDAppは,分散型取引所(DEX)のパイオニアとして知られており, まずV2においてプールされた流動性のX*Y=K一定価格曲線を一般化し,その後V3において集中流動性と時差取引手数料の機能を実現しました.この一定価格曲線であるX*Y=Kは業界の他の多くのDEXで実装されています.流動性集中モデルと多段階設定の手数料は,DEXアプリケーションの中では比較的新しくユニークな存在であり続けています(これはコピープロジェクトを防ぐために商用ライセンスを変えたことも相好しています). 簡単にまとめると、AMMは前述のアルゴリズムでバランスを取ったし菌プールにトークンをペアリングします.流動性供給者(LP)は流動性プールに資金を預け,トレーダーはトークンの出し入れを行うことで取引を行い,事実上プールと取引を行うことになります.LPは流動性を提供する代わりに,トレーダーが支払...

イーサリアムThe Merge 週間アップデート4月10日2022年

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はじめに 先週のETH開発者の定例会議でThe Mergeの進捗状況が報告され,今週私の記事でも紹介しました.今週も4月7日に進捗状況の報告が行われ,議事録と会議の様子ともに4月9日にアップロードされました. では,今週の開発進捗状況サマリーを見ていきましょう. コンセンサスレイヤーの開発状況 Goerliテストネットでの3回目のシャドーフォークが行われ少数のgethクライアントに影響が確認されました.問題はクリティカルなものではなかったので,予定通り来週月曜日,4月11日にメインネットでもシャドーフォークが行われます.なお,メインネット上ではクライアントソフトの同期などの基本的な機能をチェックするのでトランザクションは行わないように注意喚起が行われていました(メインネットではシャドーフォークのチェーンとはいえ送信行為を行うとETHを消費するため). 次がメインのポイントで,ついに最後のパブリックテストネットにMergeのリリースを行うか,ディフィカルティーボムの延期を決めるかの決定を4 月29日の定例ミーティングで決定すると発表されています.私の予想はディフィカルティボムの再延期ですが,まだ決定事項ではありません.おそらくU T Cの4月29日のミーティングで最終決定されます.日本時間4月30日には結果が分かるでしょう. PoWの停止に関する状況 https://clientdiversity.org/ あまり目立った議論はありませんが,再度クライアントソフトの多様性が重要なことの注意喚起が行われました.これはコンセンサスレイヤーとエクザキューションレイヤー両方で達成される必要があるとされています.ノード運営者への注意喚起なわけですが,何が言いたいかというとPoSへ切り替わることで,両方のレイヤークライアントの多様性が保たれていないと一つのクライアントがバグで停止すると一気にネットワークのバリデータがネットワークから外れてセキュリティーが低下することや,最悪クライアントのバグを悪用されてネットワーク上で自由にブロックを書き込める状況になってしまうためです.目安は一つのソフトが2/3シュアを超えないことで,大体67%のシェアを超えているとセキュリティーが保てないとされています. 現状は,Execution layerでgethのシェアが84.%を超えており,このまま...

ACALAがWormholeとの接続を発表

はじめに 前回の記事でAcalaが目指すPolkadotにおけるDefiのハブセンターとステーブルコインaUSDの発行の仕組みなどを紹介しました.つい数日前にそのAcalaがWormholeとの接続することと今後複数のレイヤー1チェーンのトークンをサポートすることを発表しました.今回は簡単にこれからのAcalaのWormhole連携とそのリスクについて解説してみようと思います. Wormholeについて https://wormholenetwork.com/ Wormholeは複数のEVM互換レイヤー1チェーンに接続するメッセージパッシング・プロトコルです.スマートコントラクトはそのWormholeネットワークを通じてメッセージを発し,そのメッセージはターゲットとなる宛先に送られる形でクロスチェーンブリッジを形成します.このシステムは,トークンやNFTブリッジによる異なるチェーン間での転送,クロスチェーンオラクル,メッセージングアプリケーションなどのクロスチェーン通信を可能にします.4月2日現在で8つのレイヤー1チェーンへ接続を提供し約39億ドルの資産がロックされています.また同日のThe blockの報道によると独自トークンHoleを発行し25億ドル規模の評価額が付く可能性について言及されています.どうやらHoleトークンの総発行量の7.5%をプライベートセールで1 HOLE = 0.25 USDで販売し最大で2億ドルの調達を目指しているようです. https://www.theblockcrypto.com/post/140100/crypto-bridge-wormhole-seeks-2-5-billion-price-tag-in-private-token-sale AcalaがWormholeとの接続を発表 発表は数日前の3月30日に行われました.Acala Japan公式のMediumでの投稿は以下のリンクに記載されています. https://medium.com/acala-japan/acala-karura-dotsama%E3%82%92wormhole%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%8...

DeFi研究 DeFi Llamaでの情報収集

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はじめに DeFi分野に参入するとものすごい数のプロジェクトが存在していることに驚かされます.もともとはETH基盤でのDappによって始まったDeFiの爆発的人気の上昇で現在のように様々なレイヤー1チェーンでDeFi関連のDappが立ち上がっていきました. レイヤー1だけで分類するだけでも大変ですが,それぞれで立ち上がっているサービス全てを網羅するのはたぶんほとんどの人にとって不可能でしょう.今回はそういうカオスなDeFiの世界の情報を収集するのに便利なDeFi Llamaを紹介します. DeFi Llamaとは? 公式サイトはhttps://defillama.com/で公開されています.各DeFiプロジェクトのTVL(Total Value Locked)アグリゲータ情報をオープンに公開するサイトを運営しています. DeFi Llamaのトップページ  Uniswapの統計情報表示(Uniswap.info)と似たデザインを採用しており,各レイヤー1チェーン,TVL,トークン付与の有無などで分類して情報表示させることが可能です. サイト情報のAboutを覗いてみると以下のようなミッション・ステートメントが書かれています 原文(英語) Mission DefiLlama is the largest TVL aggregator for DeFi (Decentralized Finance). Our data is fully open-source and maintained by a team of passionate individuals and contributors from hundreds of protocols. Our focus is on accurate data and transparent methodology. We track over 800 DeFi protocols from over 80 different blockchains. 日本語訳 ミッション DefiLlamaはDeFi (Decentralized Finance)のための最大のTVLアグリゲータです.私たちのデータは完全にオープンソースで,何百ものプロトコルの情熱的な個人と貢献者のチームによって維持されています. 私たちの焦点は...

Uniswap V3で流動性提供を解説 (Polygon版)

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はじめに 前回の投稿で今年はマイニングで得たWETHをUniswap V3上で流動性提供をしてDeFi運用すると紹介しました.Uniswap V3の最大のアップデートポイントは価格レンジを指定して集中的に流動性提供を行える点です.こうすることで資本効率を高めることができ,流動性マイニングで得られる利益を最大化できます.しかしこの適正な価格レンジを決めるのが結構厄介で私も最初戸惑いました.ここでは流動性マイニング提供をこれからUniswap V3で始めようという場合に参考になるツールを紹介します. Uniswap V3の特徴 レイヤー2への対応はもちろん注目すべきポイントですが,最大のアップデートポイントは集中型の流動性提供です.Uniswap V2までは,例えばETH-USDCのペアで流動性提供を行う場合には全プライスレンジでしか流動性提供を行えませんでした.つまりは取引価格に関係なく1ETHと2700USDCを流動性提供すると0 USDから無限大までカバーするという仕組みです.この場合は流動性の提供は簡単で50:50でETHとUSDCをロックするだけでした.しかしこれでは,スワップ時に取引されるのはその時のETHの時価を中心とした流動性プールの一部しか使われません.これではロックされている資本に対して取引される資本の効率が悪いということで,Uniswap V3では指定プライスレンジに集中して流動性提供を指定できるようになりました.こうすることによってより集中した流動性提供が可能になり多数の取引が行われても価格のスリッページ(相場価格からの乖離)を防ぐことも可能になりました(もちろん限界はあります). もちろんリスクフリーではありません.いわゆるインパーマネントロスのリスクは増大します.ただこの仕組みによって今までよりも高い利率で流動性提供のリワードをもらえるようになりました.その他としては流動性プールの手数料が選べるようになったことで0.05%,0.3%, 1%から選択可能になっています.また流動性提供の証明は何かと話題のNFTで発行されます.あまりやる人はいないと思いますが,このNFTをマーケットで販売することも可能です(別のプラットフォームですが).商用利用に関してはビジネスソースライセンス1.1という形でリリースされています.これはSushiSwapなどのコ...

2022年の投資戦略(DeFi編)

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はじめに もうすでに2022年もQ1の最終月になっていますが,1 月と2月に情報収集がほぼ完了したので投資戦略が固まりました.今更の感はありますが,セキュリティー対策を徹底した上でDeFiに本格参入してみようと思います.ただし,自分の考え方に沿った形,つまりはweb3.0のインフラ部分に関係するブロックチェーンで構築されたDeFiへ投資することを決めました.具体的にはETH (Polygon L2),COSMOS, Polkadot (ACALA)へ手持ちのトークンとその一部を税金が許容できる範囲でトレードし運用する予定です. Ledger Nano X を導入 こちらは定番のハードウェアウォレットなので昔から知っていましたがオンチェーンで暗号資産を扱うためには必須アイテムなので先月末に購入して設定を終えました.きっかけは,Coinbase Wallet Appが対応したことでそのキャンペーンの一環でCoinbaseエディションを購入しました.もちろんLedgerの正規ネットストアで注文してフランスのパリ本社から発送されてきました(DHLのログが確認できて安心です).こちらもebayなどで安く売られているものもありますが、絶対購入してはいけません.何故なら,すでにシードフレーズを盗まれていると購入後に設定を行って入金すると簡単に悪意を持った相手に資産を抜かれるからです. 購入する場合には正規代理店から新品を購入するのが必須で私はそのセオリーに従いました.実際に届いて中身を確認したのが以下の写真です. 質感はなかなか高級感があって好感が持てます.尚私が購入したのは,coinbaseエディションなので,筐体にはしっかりと”coinbase”と刻印されています.付属品にはUSB type Cのケーブルが含まれていますが,念のためハードウェアウォレットを使うときは必ずこの付属ケーブルを使うようにしています(USB-Cケーブル自体に細工されている場合に備えるため).こちらはKeplerやMetamaskなどのウォレットアプリと連携させて使用します. Defi運用に使うPC環境のセキュリティー対策 Defi運用に使うPCはセキュリティーレベルが高くハッキングリスクを減らせるものが望ましいです.そうなるとまずWindows OS系はターゲットになりやすくハッカー側の攻撃バリエーシ...

Polygon (MATIC) のステーキングとDefi体験

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はじめに 前回の記事でETHのレイヤー2を提供するPolygon (Matic)を紹介しましたが今回は実際にステーキングとDefiで運用した経験をシェアしようと思います.ご存知の通り,私は主に米国居住者むけに許認可を得ているサービスしか使っておらず,税金の申告が面倒になるので海外の大手取引所であるBinance, OKEX, Bybitは利用していません.ここでは米国居住者がMaticをUSDで購入してなるべくネットワーク手数料をかけずにPolygonネットワーク上でDefi運用できる方法を紹介します. Polygon (MATIC)のステーキング方法 まずPolygon(MATIC)をステーキングする場合には現在コストディアルなステーキングサービスは私の知る限り米国の取引所では提供されていません.そのためこの場合は,MetaMaskなど自分でプライベートキーを管理するタイプのウォレットからステーキングに参加する必要があります.もう一点注意することは,MaticのステーキングはETHメインネット上で実行されることです.つまり,Polygonネットワークのウォレットからはステーキングすることは出来ないのでERC20としてETHウォレット側にMaticを保持する必要があります. この場合,MaticはETHメインネットワーク上で送金,入金を行えば良いのでCoinbaseやKrakenなどから直接利用することが可能です.尚,ステーキングを行う時にスマートコントラクトの形で取引が行われるので,使用予定のウォレットには必要なETH (余裕を見て0.08 ETHぐらい)が保持されている必要があります. 実際の手順は以下の通りです.まず Polygon walletのページ にアクセスして自分のオンライン・ウォレットを接続してください. 次にPolygon Stakingをクリックしてステーキングを委託するValidatorを探します.ここでは,stake.fishを選択しました.ここは,f2poolの創業者が立ち上げたステーキングプールで信用度は比較的高い方だと思います(ただし判断は自己責任ですのでそこは自分で調べてください).Binanceのステーキングプールも存在してますが,commission feeは10%と割高です. Commissionがステーキングリワードからステ...

Polygon (MATIC)ネットワーク解説

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 はじめに 前回の記事でも取り上げましたがイーサリアムのメインネットはその成功の代償として 現在スケーリング問題を抱えており高騰するガス代はサービス提供者とユーザー双方にとって大きな問題になっています.2021年はそういった問題を解決するために様々なレイヤー2やサイドチェーンと呼ばれるスケーリングソリューションが普及し始めた年でもありました.その中でも昨年から成長が著しいPolygon(旧Matic)の仕組みについて今回は取り上げてみようと思います. Polygonとは? Polygon とは,イーサリアムと互換性のあるブロックチェーンや,それらを簡単に構築し相互運用するためのフレームワークの提供を目的としたプロジェクトです. Polygonの前身であるMaticは,2017年10月に立ち上がったプロジェクトで,イーサリアムのサイドチェーンであるPlasmaネットワークを使って,イーサリアムの性能向上を目指したのが始まりです.その後,2019年4月にCoinbase VenturesとZBS Capitalから45万ドルの出資を受けて,2020年6月にメインネットを立ち上げました. 2021年の2月に“イーサリアム互換ブロックチェーンのインターネット”を目指すとし,プロジェクト名をそれまでのMaticからPolygonに変更しました. PolygonはPoSのMaticネットワークをサポートする他,イーサリアムと互換性のあるレイヤー2にあたるブロックチェーンネットワークを構築・接続するためのプロトコルとフレームワークを提供します. PoSのMaticネットワークを利用した場合,ブロック承認時間は2秒未満,各サイドチェーンは1ブロックあたり最大65536トランザクションを含めることができます.このことが意味することは,取引コストを低減し10000TPS超えを実現できることです. 2021年に入りDefi, NFTの熱狂的バブルなどでイーサリアムネットワークが混雑しガス代が高騰する中,Maticはイーサリアムのサイドチェーンとしてスケーリングソリューションを提供することで注目を集め,独自トークンであるMaticの価格は大きく上昇しました. MATICの総発行量は100億で,チームとアドバイザーに20%,ネットワーク運用に12%, Polygon財団に21.9%,...