Uniswapが投資詐欺で集団訴訟を受ける
はじめに
我らがUniswapが利用者から集団訴訟を今週受けていました．少し驚きましたが，今回はThe Blockの記事を翻訳してその内容を見ていきます．
訴状内容（The Blockの記事翻訳）
Uniswapのユーザーから新たな集団訴訟が提起され、証券取引法の遵守を怠ったため，彼女の損失はUniswap Labsとその投資家に責任があると主張されています．
ノースカロライナ州のNessa Risley氏は，顧客に対する配慮を欠き、証券取引委員会（SEC）にブローカーディーラーとして登録しなかったために、詐欺師がUniswapプロトコルを使ってパンプ・アンド・ダンプ・スキームを実行することができたと主張しています．Risley氏は，彼女や他の人々がこれらの行為者の結果として資金を失ったとし，Uniswap Labsが詐欺行為を根絶するためにほとんど何もしていないと非難しています．
原告のリズリーは，Uniswapで取引されているトークンは未登録の証券でありUniswap Labsが証券取引業者としてSECに登録せず，証券取引法を遵守していないため，投資家が危険にさらされていると主張しています．Risley氏は，証券取引法に合致した情報開示にアクセスできていれば，彼女や他の投資家はEthereumMax，Bezoge Earth，Matrix Samurai，Alphawolf Finance，Rocket Bunny，BoomBaby.ioなどのトークン周辺の市場での混乱をある程度回避できたかもしれないと主張しています．訴状ではKYCなどの本人確認が不十分なため"取引所で詐欺が横行するようになった "とも主張しています．
Uniswap Labsは分散型のUniswapプロトコルを管理する法人ですが，規制当局が分散型取引所の規制方法を完全に打ち出していないためUniswap Labsのような法人にどんな規制負担がかかっているかは不明です．
しかし規制当局がこの分野に注目している可能性はあります．昨年9月，SECがUniswap Labsを調査し，投資家がUniswapプロトコルをどのように使用しているかUniswap Labsがどのようにプラットフォームを販売しているかについての情報を求めているとの報道が流れました．
訴状にはUniswap Labsの他に，Uniswapの創設者であるHayden Adams，出資者のParadigm，AH Capital Management，Andreessen Horowitz，Union Square Venturesの名前が挙げられています．
この訴訟では，これらの出資者が利益のために詐欺から顧客を守るためにUniswapがより多くのことをしなかったことに”共に参加し、および／または幇助した”と主張しています．
“被告は，取引所で行われている詐欺行為をよく知っているが，こうした行為を止めることが容易にできるにもかかわらず，何もしていない”と訴状で述べています．”それどころか被告は取引所のトークン発行者にすべての取引の手数料を保証することで不正行為を助長しています．今日までUniswapはユーザーから10億ドル以上の手数料を吸い上げ，トークンの発行者が，どんなに不正な行為であっても，その行為から利益を得続けることができるようにしてきました．”と主張しています．
Uniswap LabsはThe Blockに対し，この件に対抗する予定であると述べています．
Uniswap Labsの広報担当者は，”これらの主張はメリットがなく訴状には事実無根の不正確な点が散見されます”と述べています．”我々はこの訴訟に対して精力的に防御するつもりだ”と述べました．
Risleyはユニスワップが連邦証券法に違反しているという宣言と，損害賠償，遺棄金，裁判で決定される利息を求めています．
訴訟の身勝手さ
どのトークンに関して損失を被ったのかわかりませんが，Uniswap Labは価格操作に関与していませんし，分散型取引所の性質上，ガバナンスで上場が決定されたらトークンをリスティングするのは当然の話です．誰かが不正に利益を上げていたとしてもそれは相場操縦に当たる行為を行った人たち（Uniswap ユーザーの一部）であってUniswap Labではないはずです．
この人たちは十分な情報が開示されていなかったと訴えていますが，弁護士に助言されてそう言った証券法に関連するキーワードを後付けしたような印象が拭えません．こういう行為はエコシステム全体として有害な事象であり，暗号資産で損をした腹いせに訴訟を起こされても全然生産的ではないような気がします（狙いは多分訴訟により多額の賠償金を取ることだと思います）．未登録証券がリスティングされている証拠がまず示されていませんし，それはS E Cが基準をはっきり示していないことが原因でUniswap Labが訴えられるのは筋が悪すぎますね．
The defiantの記事を見る限りでは“Risley氏は昨年5月から7月にかけ，低資本のアルトコインに約10,400ドルを費やしました．同じ期間に，暗号資産市場の時価総額は半分になりました．リズリーは，EthereumMax，Matrix Samurai，Rocket Bunny，Alphawolf Finance，Bezoge Earth，BoomBabyトークンの”かなりの損失”を挙げいる”とあります．
https://thedefiant.io/uniswap-class-action/
聞いたことのないトークンばかりでよくもまあこんなコインに投資したなと思います．案の定，大きな損失を被ったのでしょう．それは自己責任であり，どう言った言説を信じたのか分かりませんが，流動性が低いアルトコインではよくあることです．そもそも一攫千金を狙ったギャンブルに参加しておいてそれはギャンブルだと知らなかったと主張するロジックが分かりません．
まとめ
訴訟大国アメリカではこういった事例がこれからも出てくることが想定されます．分散型取引所がK Y Cを導入すべきというのは一理ありますが，それらはゼロ知識証明などの技術が確立されてから徐々に普及していけば良いと個人的には思っています．
訴訟を起こした人たちは弁護士事務所と結託してお金が集まっているこの業界から分け前を横取りしようとしているようにしか見えません．業界全体で結束して悪しき前例ができる前にはっきりとNoを突きつけていく必要がありそうです．
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