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Avalanche House New York 2022参加報告

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はじめに 最近ブログの更新が滞っておりましたが,しばらく国内,国外のイベント参加で飛び回っておりました.とくに先週の金曜日から私が最近注目しているAvalancheのイベントがNew YorkのBrooklyn地区で開催されたので今回は少し趣向を変えてイベントの参加報告を紹介してみようと思います. 久しぶりのNew York! パンデミック前は当然のようにビジネスやバケーションで年に数回は訪れていたNew Yorkですが,今回はパンデミック後,初めて訪れました.クリーブランドからはDelta がLa Gurdianへ航空便を運行していますが,私はUnited ユーザーなのでNewark Intl空港を選択しました.マンハッタンまでのアクセスは空港からNJ Transitが運行する電車が走っていて,だいたい一人15.5ドルで空港からマンハッタン中心部に位置するPenn Stationまで行けます. 今回のイベント会場はBrooklynのヨットハーバー側に位置していたので,宿泊するホテルにとりあえず荷物を置き,Blue Bottleコーヒーで一服してからUberで移動しました.なぜこんな不便な場所で開催したかは後ほど説明するとして,だいたい朝6時の飛行機に乗り,11時半には会場へ到着しました. Avalanche Houseへ到着 会場の100m以上前からわかるほどの派手な赤色のゲートとAvalancheのロゴが描かれた壁が目に入りました.受付を抜けるとさっそく本物のFormulae Eマシンが展示されていました.会場内ではソフトドリンク,アルコール飲料,食べ物など全部無料で提供されていました.セッションは予定通りには始まらずゆっくりと13時前あたりに始まりました. 私は昼食がまだだったのでフードワゴンでFalafelラップをもらってDiet Cokeと一緒に食べてました.屋外スペースには卓球台やFormulae Eのシュミレータ(なんと座面が動く本格的な油圧システムのやつでした)が置かれていて思い思いに楽しめるスタイルになっていました.     Formulae Eとのコラボレーション Andretti・Formulae Eは, ABB FIAフォーミュラE世界選手権の8シーズン目を前に, タイトルスポンサーとしてAvalancheと提携したことを発...

世界同時金融引き締めと暗号資産への影響

はじめに 皆さんもご存知の通り米国のFRBは利上げを行い同時に金融緩和政策からの脱却つまり、QT (Quantitative Tightening)に移行しました.FRBは6月1日から月475億USDを上限に,償還を迎えた国債などの再投資をやめる形で減額を始めることをすでに発表しています. 気になるところはこれが暗号資産にどういった影響を与えるかということです. 今回は簡単にQTの規模や経緯と暗号資産市場へどういう風に波及効果が及ぶのか考察していきます. 世界中の中銀はこれから年2兆USDペースでQTを進める予定 まずは日経の記事から読んでいきましょう. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN310040R30C22A5000000/ 先程も述べたように米国は6月から月475億USD相当の償還を迎えた国債などの再投資を停止します.世界中の中央銀行も同じアクションを取るとすでに発表済みでその総額は年間2兆USD規模に及びます.今回のような世界同時かつ大規模にQTが行われるのは初の出来事です.これはコロナウィルスの感染拡大による都市封鎖の補償として各国政府が大量の給付金を国民に配った結果でもあります.また感染拡大が一旦収まり,感染のコントロールが可能な状態まで回復すると今度は鬱積していた消費が戻り急激に消費経済が加熱しました.とくに米国ではサービス業でこの傾向が顕著であったと現地に住んでいる身としてはひしひしと感じています.レストランはロックダウン期間中に閉じてしまい,そこで働いていた従業員の多くが解雇されました.政府の手厚い給付金と失業手当のサポートもあって,いざロックダウンが解除されてもそういった一度労働市場からいなくなった人々は戻ってこなかったのです.これは,様々な理由が考えられますが,引退年齢に達していた人たちは空前の資産バブルで引退資金が貯まり,コロナのパンデミックによって死を身近に感じると皆が残りの人生を自分の好きなこと,または自分の愛する人たちと過ごしたいと考えたのでしょう.これは人間として自然の流れといえます. また働き盛りの世代はロックダウン解除後も支給される政府の手厚い失業保険でいままでもらっていた給料より,失業手当のほうが多いという現象が起きました.これがサービス業で人員不足が続いた主な理由でしょう.レストラ...

Move-to-Earnのアプリ調査

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 はじめに 最近, Defi kingdomなどのplay-to-earnが流行しています.その一種としてmove-to-earnが登場しました.これは要するにユーザーは体を動かした分,歩数に応じた何らかの暗号資産で報酬を受け取ることができるゲームです(ヘルストラッキングアプリの進化版ですね).これらはお金を稼ぎたいという思いが,人々に影響を与え,より健康的なライフスタイルを送るようになるのでしょうか?今回は,今現在,Move-to-Earnを実際にブロックチェーン上で動かしているサービスと,これから予定しているものなどを一緒に紹介しようと思います. STEPかSTEPNか?シンプルさ vs. NFT 実際にApple アプリストアなどで探してみると,有名なMove-to-Earnの代表格であるSTEPNとそれと似た名前のSTEPという2つのプロジェクトが目に止まります.両方とも体を動かして,歩数を稼ぎ,それが暗号資産である独自トークンに交換可能であることは共通していますが,しれ以外はかなり異なったシステムとなっています. STEP このプロジェクトのアイデアはすごいシンプルで,ユーザーは、歩くことで毎日報酬を得ることができます.参加するためには,ユーザーは以下の条件をクリアする必要があります. ユーザーは、iOSとAndroidデバイスで利用可能なSTEPアプリをダウンロードし,自分の活動を追跡することを許可する. BNBウォレットのアドレスを入力し,18,000 STEPトークン(現時点で約626USD)以上を入金が必要. 賞品配布に参加するには,ユーザーは最低4,000ステップをこなし,毎日アプリケーションを同期させる必要あり. 1日に受け取れる報酬の上限は10 USD.30000ステップを達成すれば,手に入れるチャンスがある. 報酬は毎日,BNBの形でユーザーのウォレットに支払われます(現在はSTEPトークンに変わったという情報もあります). 報酬プールは,トークンを売ったり買ったりするときに課金される手数料から賄われているようです.そのため,同じステップ数を達成しても,日によってユーザーに与えられる報酬が異なる場合があります. 18,000STEPトークンの価格は現在約626ドルであり,このプロジェクトに参加するための敷居は比較的高いものとなってい...

非同期ヘテロジニアス型ブロックチェーンネットワーク(Polkadot, Cosmos, Avalanche)の比較

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はじめに Bitcoinはデジタルゴールドとしての地位を確立し,Ethereumはプログラム可能な通貨の時代を切り開き暗号資産市場を今でも牽引しています.しかし,それらの第一世代ブロックチェーンネットワークは,アクティブユーザー数の増加に伴いネットワーク性能,使い勝手,エネルギー効率,分散性の面などのバランスの中でスケーリング問題に直面しています. 現在の深刻なスケーリング問題を解決するためにEthereumはPoSへの移行とShardingやレイヤー2の実装を急いでいます.重要なのはこの時期に,Cosmos, Polkadot, Avalancheという新世代のブロックチェーン・プロジェクトが相次いで立ち上げられ,優れたインフラが確立されたことです.これらのプロジェクトは,各アプリケーション専用のブロックチェーンが共存し,かつ必要なときに相互運用できる,非同期かつ異種混在型のネットワークモデルによる水平的な拡張を目指しています.これらのネットワークの目標は,今日の数十万人のアクティブユーザーへの普及ではなく,数百万人の日々のアクティブユーザーを収容できるブロックチェーンインターネットを構築し,”インターネットはユーザーが所有しコントロールする“というweb3のビジョンを実現することにあります.今回は,私が注目しているこの3つのプロジェクトが暗号資産ネットワークのパラダイムシフトでありそれらを理解するために解説していきます. 今回は以下のサイトを翻訳し参考にして作成しました. https://coinyuppie.com/parsing-cosmos-polkadot-and-avalanche-differences-in-heterogeneous-blockchain-networks/ Cosmos,Polkadot,Avalancheはいずれも,非同期異種ネットワークモデルによる水平方向の拡張を目指しています.これら3つのネットワークでは,アプリ固有のブロックチェーンが異なる仮想マシンを持ち,必要に応じて相互運用が可能です.詳細を説明する前にこれら3つの違いを端的に表した以下の図を見てください. Cosmos, Polkadot, Avalancheのネットワークトポロジー https://coinyuppie.com/wp-content/uploads...

オピニオン:暗号資産とDeFiはシャドーバンキング2.0?

はじめに 今から15年前,米国のリーマンブラザーズの破綻から始まる連鎖的な金融危機により信用縮小を起こし世界中にその影響が波及していきました.私にとって印象に残っているのはその時にちょうどH1B Visa (エンジニアなどの高度技術を持った人材向けの就労ビザの一種です)の申請をしていて,本来なら募集定員を軽くオーバーする申請があってくじ引きになるところ2009年の4月というリーマンショックの直撃を受けた直後で各テック企業が人員募集をほぼ停止したため逆に定員割れを起こしあっさり通ったことでした.その頃は大した金融資産を持っていなかったので全然他人事のように感じていましたが,今思うとすごい時期に渡米したなと思います.幸い私をスカウトしてくれた会社は設立されてまだ4年弱ぐらいで急激に自己資本を使って成長していたので影響はほとんど受けず,むしろ業績をその後数年間で何倍にも伸ばしていきました. しかし,そんな例は稀で世間は不景気で暗い雰囲気だったことを覚えています.またその後に政府によって問題を起こした金融機関や保険会社が巨額の税金で救済されるモラルハザードが発生し一般の人々が憤慨しその後も遺恨を残しました.その当時FRBは初のゼロ金利政策で景気を下支えようとし,大規模金融緩和が世界中で始まりついに世界の金融市場が日本化したと騒がれていました. それから15年が経過し暗号資産が静かに生まれ,ついにDeFiという既存の金融機関の枠組みや政府のコントロールから外れた特殊な金融エコシステムが生まれようとしています.そんな中,暗号資産やDeFiに批判的な人たちはDeFiが2008年の金融危機をまた引き起こすかもしれないと騒いでいます.ではそれは本当でしょうか?今回は,Hillary J. Allen氏によって発表された以下のエッセイ(DeFi: Shadow Banking 2.0?)を読み解き考えてみようと思います. https://newsletters.theatlantic.com/galaxy-brain/624cb2ebdc551a00208c1524/crypto-bubble-web3-decentralized-finance/ https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4038788&utm_s...

オピニオン:web3と暗号資産の日本での政策議論

はじめに 日本では,長田町で次世代webであるweb3.0であったりとかNFTの議論が起きそれから税制改革や競争力強化について前進しそうな気配が見えてきましたが,2017年から暗号資産(ここでは仮想通貨と呼びます.この呼称は海外では一般的ではありません.)に投資してこの業界を見てきた自分からすると用語を変えただけでこうも印象が変わるのかと驚いています. ここでは,自分の考えと感じたことについて述べていきます. ブロックチェーン技術は有望でBTCには懐疑的? これは2017年頃にもよく見られた議題でした.ブロックチェーンという技術がこれからは有望で仮想通貨と呼ばれるBTCとその他はなんだか詐欺っぽいという言説です. これもただ単に上辺だけの情報をなぞってなんとなく“BTCはやばそう”で“ブロックチェーン技術”はこれから応用範囲がありそうだと一般の人たちは思ったことでしょう. でも両者がほぼ同じものであることは一般の人々にはよく理解されていません.ブロックチェーン技術単体で見た場合,技術的な観点からは冗長性がやたら高くてリソースが大量に必要な非効率なデータベース(分散型台帳)に過ぎません.PoWによるコンセンサスアルゴリズムは大量の演算リソースを消費しますし,決して効率的なシステムとはいえないでしょう.たとえセキュリティーが守られることなどをアピールしても単体ではこれほど注目されなかったはずです. BTCはP2Pネットワークを介したブロックチェーン基盤で作られたからこそ,ブロックチェーンがここまで価値がある技術だと認識されたのです.つまりブロックチェーンとBTCは同時に登場し同じぐらい重要なもので,ブロックチェーン≒BTCと言っても過言ではありません.しかしBTCは怪しいし詐欺が横行しているからやばいものだというイメージが一般大衆に定着しました(とくにCoincheckハッキング事件のあとには). 繰り返しますが, BTCはブロックチェーン技術がなければ存在していません. ブロックチェーン技術はBTCがなければこれほど発展し普及することはなかったでしょう. 日本政府が技術的なことを理解せず通貨として仮想通貨の取引を認める法律を2017年に通したために日本市場と韓国などのアジア市場が牽引する形でBTCバブルは加熱し,その後Coincheckのハッキング事件と税金面での厳し...

Uniswap 1Q 2022の概観

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 はじめに MessariからUniswap 1Q 2022のレポートが発表されました.今回はそのレポートの注目部分を引用しながら現在のUniswapエコシステムの状況を読み解いてみようと思います. もとになったレポートは以下のリンクから参照できます. https://messari.io/article/state-of-uniswap-q1-2022 レポートの要点 - 2021年第4四半期からの暗号とNFTへの関心の高まりが落ち着き,2022年第1四半期の総取引量と,それに伴う流動性プロバイダーの手数料は減少. - Uniswap on Polygonは有機的な成長を遂げ,V3の非Ethereumプラットフォームとして,稼働が最も遅いネットワークであるにもかかわらず,取引量ではトップとなった.次四半期の流動性マイニングの追加インセンティブは,引き続き成長を促進するものと思われる. - コミュニティは,CeloとGnosis Chainへのさらなる拡張のための領域を模索. - Uniswap Grants Programは,2021年末からの助成金提案が混在するWave 6で史上最大の助成金を交付. Uniswapの概要 UniswapはOptimism,Arbitrum,Polygonなどのスケーリングソリューションとともに,ETHネットワーク上のトークンの取引を促進しています.このプロトコルとDAppは,分散型取引所(DEX)のパイオニアとして知られており, まずV2においてプールされた流動性のX*Y=K一定価格曲線を一般化し,その後V3において集中流動性と時差取引手数料の機能を実現しました.この一定価格曲線であるX*Y=Kは業界の他の多くのDEXで実装されています.流動性集中モデルと多段階設定の手数料は,DEXアプリケーションの中では比較的新しくユニークな存在であり続けています(これはコピープロジェクトを防ぐために商用ライセンスを変えたことも相好しています). 簡単にまとめると、AMMは前述のアルゴリズムでバランスを取ったし菌プールにトークンをペアリングします.流動性供給者(LP)は流動性プールに資金を預け,トレーダーはトークンの出し入れを行うことで取引を行い,事実上プールと取引を行うことになります.LPは流動性を提供する代わりに,トレーダーが支払...

Curve戦争がTerraとMakerDAOの間で勃発?

主なポイント - Terraは、Curve Financeにおいて同社のフラグシップであるUSTステーブルコインのための新しい高インセンティブの流動性プールを立ち上げる予定. - 現在最大のステーブルコインのプールである3poolとは対照的に,4poolはDAIを除外しUST,FRAX,USDC,USDTを含むことになる. - Terraの積極的な動きの明確な目標は,3poolの流動性を枯渇させることであり,これはDAIの安定性と魅力に有害な打撃を与えることを証明する可能性がある. はじめに 最近何かと話題のTerraform Labs CEOで創設者のDo Kwon氏は、MakerDAOのDAIに対して公開攻撃を行い,競合するDAIステーブルコインの流動性を奪い,永久に転覆させると宣言しています. 以下はCryptobriefingの記事を翻訳して加筆したものです. https://cryptobriefing.com/could-terras-new-curve-pool-kill-makerdaos-dai/ TerraがDAIに公開攻撃へ USTの時価総額が約2倍になった後、TerraはMakerDAOのDAIにさらなる打撃を与える準備を進めています. “私の手で$DAIは死ぬ”とTerraform LabsのCEO兼創業者のDo Kwon氏は3月23日にツイートしました.その1週間後,彼はいわゆる "4pool "を導入することで,その脅しを実行に移しました.提案されたプールは,同価値の資産を扱う最大の分散型取引所であるCurve Financeの流動性プールの形をとり,4つのステーブルコインで構成される予定です.TerraのUST,Frax FinanceのFRAX,TetherのUSDT,CircleのUSDCの4つのステーブルコインで構成されます. その目的は現在提携しているアルゴリズム型ステーブルコインUSTとFRAXに高い流動性を確保し,競合する分散型ステーブルコインDAIに流動性を枯渇させることにあります.金融の世界では,流動性とは特定の取引所で取引可能な暗号資産の量のことを指します.流動性はある資産がその市場価格に影響を与えることなく,いかに簡単に他の資産と交換できるかを決定するため,非常に重要な指標です.流動性が高ければ...

Change the code, not climate運動に思うこと

 はじめに リップル社のCEO Chris Larsen氏が環境保護団体のグリーンピースに500万ドルの寄付を行いビットコインのコンセンサスアルゴリズムをPoWからPoSへ切り替える運動”Change the code, not the climate”を始めたようです. Green peace USA change the code not the climate movement 3/29/2022: https://www.greenpeace.org/usa/news/change-the-code-not-the-climate-greenpeace-usa-ewg-others-launch-campaign-to-push-bitcoin-to-reduce-climate-pollution/ Change the code not climate運動 ご存知の通りSECに未登録証券の販売で訴訟を起こされたリップルは今回のブル相場で最もパフォーマンスが悪い暗号資産の上位銘柄となっています.もちろんクロスボーダー取引に革命をもたらすという宣伝文句とリップル社のビジネスはまだ続けられており,すでに時代遅れになった技術を様々な方策でなんとか機能拡張させながら延命させようと必死です. 正直,取引スピードではSolanaに太刀打ちできない状態ですしスマートコントラクトの拡張はこれから始まったばかりです.分散性はリップル社が発行とエスクローからの流通に関与していることからも皆無でありweb3.0のインフラとして採用される見込みはほぼゼロと言っても良いでしょう. そんな苦境も相まってか,今回は環境保護団体とSDGsの流行へ便乗する形でビットコインのプロトコルを変えさせようと奇妙な運動を始めたようです.このニュースを聞いて古くから暗号資産業界に関わった人たちはこれが環境保護を真剣に考えた上での行動ではなくビットコインへの嫌がらせと捉えているようです. そもそもビットコインネットワークのコード変更を決めるのはビットコインの開発者とユーザーコミュニティーでありそれを無視することはできません.また今回の運動の目指すようにコンセンサスアルゴリズムというBTCブロックチェーンの根本部分を改変するのはかなり無理がありそうです. コインデスクジャパンの記事 で述べられてい...

ACALAがWormholeとの接続を発表

はじめに 前回の記事でAcalaが目指すPolkadotにおけるDefiのハブセンターとステーブルコインaUSDの発行の仕組みなどを紹介しました.つい数日前にそのAcalaがWormholeとの接続することと今後複数のレイヤー1チェーンのトークンをサポートすることを発表しました.今回は簡単にこれからのAcalaのWormhole連携とそのリスクについて解説してみようと思います. Wormholeについて https://wormholenetwork.com/ Wormholeは複数のEVM互換レイヤー1チェーンに接続するメッセージパッシング・プロトコルです.スマートコントラクトはそのWormholeネットワークを通じてメッセージを発し,そのメッセージはターゲットとなる宛先に送られる形でクロスチェーンブリッジを形成します.このシステムは,トークンやNFTブリッジによる異なるチェーン間での転送,クロスチェーンオラクル,メッセージングアプリケーションなどのクロスチェーン通信を可能にします.4月2日現在で8つのレイヤー1チェーンへ接続を提供し約39億ドルの資産がロックされています.また同日のThe blockの報道によると独自トークンHoleを発行し25億ドル規模の評価額が付く可能性について言及されています.どうやらHoleトークンの総発行量の7.5%をプライベートセールで1 HOLE = 0.25 USDで販売し最大で2億ドルの調達を目指しているようです. https://www.theblockcrypto.com/post/140100/crypto-bridge-wormhole-seeks-2-5-billion-price-tag-in-private-token-sale AcalaがWormholeとの接続を発表 発表は数日前の3月30日に行われました.Acala Japan公式のMediumでの投稿は以下のリンクに記載されています. https://medium.com/acala-japan/acala-karura-dotsama%E3%82%92wormhole%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%8...

ステーブルコインUSTのビットコイン準備金の関係性

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はじめに 前回の記事でステーブルコインにはアルゴリズム型という無担保型のものが存在し,まだ実験的なプロジェクトですがTerra NetworkによるUSTが存在していると紹介しました.最近の暗号資産ニュースを見ているとTerraがとんどでもない量のビットコインを買い込んでいることが明らかになり,それらが3月の上昇相場を牽引してきました.将来的にはサトシナカモトの保有額を超える量のビットコイン購入を計画しており,Terraが何を考えてどういったロジックでこうした動きをしているのか気になり調査してみました.ここではその調査内容とUSTの仕組みと詳細を紹介いたします.以下はDanku_r氏のツィートを参考にしました. https://twitter.com/danku_r/status/1509173544420356102 USTの発行の仕組み 最初に前置きとしてUSTを発行する場合にビットコインとLUNAどちらも担保としては扱われません.これはDAIやaUSDのように過剰担保を要求されるステーブルコインとは大きく異なっており,USTはアルゴリズムにより発行と焼却がコントロールされています. USTはシステム上のアービトラージ(裁定取引)とプロトコルのメカニズムによってUSDとのペッグを維持しています.この仕組の中でLUNAが裏付け資産として使われます. ユーザーはUSTをミント(発行)するために同じUSD相当価格のLUNAを焼却(流通から取り除いて破棄)します.逆もまた然りで,1 USTコインを焼却して1USD相当のLUNAを獲得することができます. UST発行時のLUNAとの関係性(Danku_r氏のツィートから参照) https://pbs.twimg.com/media/FPGkPCiXMAISHfz?format=png&name=900x900 したがって,USTの需要が供給を上回れば,USTはオフチェーンでトレードされてペッグを維持します.例えばUSTが1.01 USD相当になった場合を考えてみると以下のようになります. 裁定取引を行うシステムはオンチェーン上でLUNAを焼却してUSTを発行しそれをオープンマーケットで取引することで利益を得ることができます(0.01 USD). もちろん逆の場合も考えられます.USTの供給が需要を上回った場合に1U...

ステーブルコインの種類と利用方法

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はじめに 暗号資産を始めたいけれど,そのボラタリティー(価格変動)の高さで敬遠している個人投資家も多いことでしょう.このボラタリティーの高さが初期の投機目的で暗号資産へ投資をしていた人々を惹きつけていた要因でもありますが,余剰資金を貯めて増やしたい一般の人にとってはリスクが高すぎて参入を躊躇う主な要因でもありました.ステーブルコインは暗号資産へ投資は行いたいけれどもボラタリティーのリスクを抑えたい投資家の需要に応えるものです. 一般的にステーブルコインはBTCやETHとは違い法定通貨(ほとんどの場合USD)に1:1にペッグする形で提供されるので下落局面で一時的に資金を引き上げる場面などで便利な存在です. また一般の決済に使用する場合には送信主と受信者両方とも価格が安定している方が都合が良いことが多いです.そのような理由から,暗号資産の取引や利用を活性化させる非常に重要な存在です.現在,市場には様々なステーブルコインがすでに存在しており,今回は簡単に分類とそれぞれの特徴を紹介していきます. ステーブルコインの種類 ステーブルコインにはざっくりと以下の3種類に分けられます. 法定通貨担保型 – USDT (Tether), USDC(Circle), TUSD (TrueToken), GUSD(Gemini) 暗号資産担保型 – DAI (MakerDAO), aUSD (Acala) 無担保型 – UST (Terra),TITAN(消滅しました) 簡単に表にまとめるとそれぞれ以下のような特徴があります. 法定通貨担保型 歴史上,一番最初に登場したのがUSDTでこれは発行主体はTether社になります.流通量もすごい額で現在時価総額で約10兆円規模に到達しています.裏付けになる資産はUSDと等価物となっていると説明していましたが,最近の監査結果などが公開されそのほとんどをC P (コマーシャルペーパー→社債のことです)で保有していることが報告されています.様々な噂が燻り続けており正直,実際どれだけ裏付け資産を1:1の割合で保持されているのかどうかは暗号資産界隈では長年議論され続けています. 一方で比較的,透明性があるのはUSDCでこちらはCircle社が発行を行っています.現在も定期的な監査で十分な情報開示が行われており,将来的には米国債で裏付け資産のほとんどを保有...

Polkadot基盤のDeFiハブ ACALA (ACA)とaUSDの概要解説

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はじめに 昨年末に注目を集めたPolkadotのパラチェーンオークションで記念すべき初のパラチェーンとしてオークションを勝利したのはAcalaプロジェクトです.AcalaはPolkadot基盤のDefiハブを目指すプロジェクトでステーブルコインのaUSD を発行及び流動性提供や分散型ファンドを実現しようという大変野心的なプロジェクトです.私もPolkadotには非常に注目しており,実際にAcalaのプログラムにも参加した経緯があるのでその内容も含めて今回はAcalaの紹介をしたいと思います. Acalaの特徴 名前からしてすごいですが,Acalaは不動明王のサンスクリット語表記です.Googleで検索する時は”Acala cypto”を入力してください.でないと不動明王の画像がいきなり引っかかります笑. 公式websiteは https://acala.network/ ですでにPolakadotからDOTを転送するブリッジ機能を備えたAMM型取引所のDAppであるAcala sSwapが立ち上がっています( https://apps.acala.network/ ). ちなみにKusama上でもパラチェーンを持っていて、そちらはKaruraという名前のプロジェクトになります.プロジェクトの目的はずばりPolkadot上のDefiハブになることで現在は異なるブロックチェーンのDeFiユーザーや開発者がスケーリング問題やガス代高騰などを気にせずにAcalaネットワークに移行できる環境を整備しています. ちなみにセキュリティーはPLOの仕組みによりクラウドローンで集まった大量のDOTをロックすることによって担保されており,Polkadotの強固なセキュリティー基盤を共有することで実現され得ています.そのため後ほど説明しますが、インフレーション型のトークン発行やステーキングを提供する必要がなくネイティブトークンであるACAは流通量がすでに決められており分配方法もすでに決定されています(ガバナンス投票次第ではこれから配る部分は変更される可能性あり). ETH互換のレイヤー1チェーンの仕組みとスマートコントラクト Polkadot上で動作するAcalaチェーン自体はEVM互換のスマートコントラクトに対応しており,イーサリアムとの互換性を備えています.このEVMはPolkado...

Coinbase OneとLiteCoinのMimbleWimbleアップデート

Coinbase Oneのベータ提供開始 今朝のことですがCoinbase Appを開いたら案内状が届いており,CoinbaseOneという新しいサービスを限定公開で提供している内容でした.調べてみると,ベータ版のサブスクリプションサービスで以下のような特典が受けられます. 100万ドルまでの不正出金による被害補償 24時間の優先サービス 取引手数料無料 サブリスクリプションの契約と解約はいつでも行なえて月額29.99ドルのプランになります.これを高いと思うかは人それぞれだと思いますが,一般的なFDICによる銀行や証券口座の保険は最大100万ドルでほぼ同等の預金保険が受けられることと24時間の専用優先サービスが提供されることを考えると悪い選択肢ではありません. これで一般の銀行預金や証券口座と同等のセキュリティーを担保しつつ暗号資産を安全にCoinbaseプラットフォーム上で保持することが可能となりました.取引手数料が無料になるのは今の主流で将来的に取引手数料を収益源にするモデルは成長限界があることから今回のサブスクプランの提案になったのでしょう.Coinbaseはいままで大きなハッキング事件を起こしていない取引所の一つで上場企業であることから伝統的な金融分野をDeFiなどと繋げる上で重要な存在でしょう. もちろんこういった保険部分はこれからDeFiなどで解決されなければならない課題のひとつで完全分散化されて中央管理者を介さない場合でもスマートコントラクト上で保険契約と執行を実現されるのが理想ですが,こういったCeFiによるサービスは過渡期の妥協策としてありだと思いました. 私は早速申し込んで,BlockFiからの大部分の資金を引き上げる予定です.ETHに関しては一部はいつでも動かせるようにVault口座へ保存,残りのほぼすべてはETH2.0に移動させることを決断しました.BTCは担保にしてUSDCをCoinbaseの貸し出し機能で借り入れようかと計画しています.WBTCにスワップしてAAVEという手もありますが,トークンスワップはたとえラップドトークンでも課税イベントと見なされる可能性が高いのでCoinbaseの貸し出しサービスが一番自分の状況には合っているのかなと考えています. ちなみに私はCoinbaseの株式も保持しています.上場企業として見た場合,取引手数...