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Uniswapが投資詐欺で集団訴訟を受ける

はじめに 我らがUniswapが利用者から集団訴訟を今週受けていました.少し驚きましたが,今回はThe Blockの記事を翻訳してその内容を見ていきます. 訴状内容(The Blockの記事翻訳) https://www.theblockcrypto.com/amp/linked/141853/class-action-lawsuit-accuses-uniswap-labs-its-investors-of-allowing-fraudulent-activity-on-the-dex-protocol Uniswapのユーザーから新たな集団訴訟が提起され、証券取引法の遵守を怠ったため,彼女の損失はUniswap Labsとその投資家に責任があると主張されています. ノースカロライナ州のNessa Risley氏は,顧客に対する配慮を欠き、証券取引委員会(SEC)にブローカーディーラーとして登録しなかったために、詐欺師がUniswapプロトコルを使ってパンプ・アンド・ダンプ・スキームを実行することができたと主張しています.Risley氏は,彼女や他の人々がこれらの行為者の結果として資金を失ったとし,Uniswap Labsが詐欺行為を根絶するためにほとんど何もしていないと非難しています. 原告のリズリーは,Uniswapで取引されているトークンは未登録の証券でありUniswap Labsが証券取引業者としてSECに登録せず,証券取引法を遵守していないため,投資家が危険にさらされていると主張しています.Risley氏は,証券取引法に合致した情報開示にアクセスできていれば,彼女や他の投資家はEthereumMax,Bezoge Earth,Matrix Samurai,Alphawolf Finance,Rocket Bunny,BoomBaby.ioなどのトークン周辺の市場での混乱をある程度回避できたかもしれないと主張しています.訴状ではKYCなどの本人確認が不十分なため"取引所で詐欺が横行するようになった "とも主張しています. Uniswap Labsは分散型のUniswapプロトコルを管理する法人ですが,規制当局が分散型取引所の規制方法を完全に打ち出していないためUniswap Labsのような法人にどんな規制負担がかかっているかは不明です...

Uniswap V3でのインパーマネントロス解説(集中レンジでのL Pの場合も含めて)

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はじめに DeFiで流動性(LP)提供を始める時必ず説明サイトなどで出てくる用語としてImpermanent Loss (IL : 変動損失)が出てきます.最初は何を意味しているのか分からないと思います. 例えばこんな説明を見かけます. ”IL(インパーマネントロス)とは,LPポジションに含まれる2つの資産(トークン)の価格の比が変わり,AMM(自動マーケットメイカー)によりリバランスされた結果、発生する損失のことです.ILは,LPに含まれる2つの資産をそれぞれ単独で保有した場合と比較した損失です.” これだけだと何を言っているかよく分かりませんね.ここでは従来の1:1のバランスでL Pポジションを組んだ場合のILの理解と同時にUniswap V3の集中流動性の場合を説明していきます. インパーマネントロスとは? では最初に従来の1:1でLPポジションを組んだ場合から考えてみましょう. 例えば,3200 USDCと1.0 WETHでUniswapで1:1でポジションを組んだとします(1ETH = 3200 USDと仮定します).開始時の資産額は3200 USD + 1 WETH (3200USD) = 6400 USDとなります. ここで1 WETHが4000 USDまで値上がりしたとしましょう.すると,このLPポジションは,0.894WETHと3576 USDCに変化しました. この時の資産額は,0.894 X 4000 + 3576 = 7152 USDとなり,7152 USD – 6400 USD= 752 USDの利益が出ていることになります. 利益が出ているからひとまず安心です.でもここで両方をそのまま持っていた場合を考えてみましょう.その場合は,4000 USD + 3200 USD = 7200 USDになり,7200 USD – 6400 USD =  800 USDの利益になる結果になります.この場合はそのまま持っていたほうが800 USD – 752 USD = 48 USD 分のプラスの利益が出せていたことになります.逆の言い方をすれば,LP提供をしたために,48 USD分の損失が出たことになります.これがインパーマネントロスです.実際にLP提供を行っている期間には取引手数料が別途利益として手に入るので,それが48 USD分を上回ればイ...

DeFi研究 DeFi Llamaでの情報収集

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はじめに DeFi分野に参入するとものすごい数のプロジェクトが存在していることに驚かされます.もともとはETH基盤でのDappによって始まったDeFiの爆発的人気の上昇で現在のように様々なレイヤー1チェーンでDeFi関連のDappが立ち上がっていきました. レイヤー1だけで分類するだけでも大変ですが,それぞれで立ち上がっているサービス全てを網羅するのはたぶんほとんどの人にとって不可能でしょう.今回はそういうカオスなDeFiの世界の情報を収集するのに便利なDeFi Llamaを紹介します. DeFi Llamaとは? 公式サイトはhttps://defillama.com/で公開されています.各DeFiプロジェクトのTVL(Total Value Locked)アグリゲータ情報をオープンに公開するサイトを運営しています. DeFi Llamaのトップページ  Uniswapの統計情報表示(Uniswap.info)と似たデザインを採用しており,各レイヤー1チェーン,TVL,トークン付与の有無などで分類して情報表示させることが可能です. サイト情報のAboutを覗いてみると以下のようなミッション・ステートメントが書かれています 原文(英語) Mission DefiLlama is the largest TVL aggregator for DeFi (Decentralized Finance). Our data is fully open-source and maintained by a team of passionate individuals and contributors from hundreds of protocols. Our focus is on accurate data and transparent methodology. We track over 800 DeFi protocols from over 80 different blockchains. 日本語訳 ミッション DefiLlamaはDeFi (Decentralized Finance)のための最大のTVLアグリゲータです.私たちのデータは完全にオープンソースで,何百ものプロトコルの情熱的な個人と貢献者のチームによって維持されています. 私たちの焦点は...

Uniswap V3で流動性提供を解説 (Polygon版)

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はじめに 前回の投稿で今年はマイニングで得たWETHをUniswap V3上で流動性提供をしてDeFi運用すると紹介しました.Uniswap V3の最大のアップデートポイントは価格レンジを指定して集中的に流動性提供を行える点です.こうすることで資本効率を高めることができ,流動性マイニングで得られる利益を最大化できます.しかしこの適正な価格レンジを決めるのが結構厄介で私も最初戸惑いました.ここでは流動性マイニング提供をこれからUniswap V3で始めようという場合に参考になるツールを紹介します. Uniswap V3の特徴 レイヤー2への対応はもちろん注目すべきポイントですが,最大のアップデートポイントは集中型の流動性提供です.Uniswap V2までは,例えばETH-USDCのペアで流動性提供を行う場合には全プライスレンジでしか流動性提供を行えませんでした.つまりは取引価格に関係なく1ETHと2700USDCを流動性提供すると0 USDから無限大までカバーするという仕組みです.この場合は流動性の提供は簡単で50:50でETHとUSDCをロックするだけでした.しかしこれでは,スワップ時に取引されるのはその時のETHの時価を中心とした流動性プールの一部しか使われません.これではロックされている資本に対して取引される資本の効率が悪いということで,Uniswap V3では指定プライスレンジに集中して流動性提供を指定できるようになりました.こうすることによってより集中した流動性提供が可能になり多数の取引が行われても価格のスリッページ(相場価格からの乖離)を防ぐことも可能になりました(もちろん限界はあります). もちろんリスクフリーではありません.いわゆるインパーマネントロスのリスクは増大します.ただこの仕組みによって今までよりも高い利率で流動性提供のリワードをもらえるようになりました.その他としては流動性プールの手数料が選べるようになったことで0.05%,0.3%, 1%から選択可能になっています.また流動性提供の証明は何かと話題のNFTで発行されます.あまりやる人はいないと思いますが,このNFTをマーケットで販売することも可能です(別のプラットフォームですが).商用利用に関してはビジネスソースライセンス1.1という形でリリースされています.これはSushiSwapなどのコ...