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ETHのマージ・アップデート 7月24日2022年

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はじめに 先週末は,New YorkのBrooklynで開催されたAvalanche Houseに参加していました.そちらは興味深い発表やイベントの様子など来週ぐらいにはブログ記事にまとめて紹介しようと計画しています.ETHの毎週行われるDevOpコールは先週はお休みでした.今週は7/21木曜日に開催されたので,その内容とThe Mergeの現状を今日は紹介いたします. Goerliのテスト状況 Ropstenのマージが成功して,最後のテストネットであるGoerliでのマージが来月頭に計画されています.5回目のシャドーフォークによるマージのテストは成功したので,ついにTTD (Terminal total difficulty)を8月9日から11日付近に設定しました.メインネットのシャドーフォークがまた来週に計画されています(7/28/2022). 繰り返しますが,Goerliが最後のテストネットになり,つまりこれが成功すれば次はメインネットによるThe Merge本番になります. The Mergeの実装時期 こちらは今週のミーティングでアナウスされる前に開発者の最終目標が決定されてプレス発表されました.もちろんT T Dによる予測値ですので正確な時間は断言できませんが9月19日の週に設定されました. 現状の私の予想は,おそらく公式発表の+2週間以内にマージが終了するだろうとしておきます. 以前からこのブログで予想しているようにレイバーデー休暇の後に設定されたのは予想が的中しました. では,実際にどれぐらいの予測値になるかみなさん一番気になるところだと思います.早速,カウントダウンサイトとして”Wen Merge”が登場しています. https://wenmerge.com/ このサイトの情報によればGoerliのマージまで17日,メインネットは57日後と執筆時点では表示されています.ちなみにメインネットではT T Dがアナウンスされてませんのでこちらは発表後に修正される予定です. 気になる方は,サイトをブックマークに登録するかTwitterでフォローすると良いでしょう. おわりに いよいよETHのメインネット上でのマージへカウントダウンが始まりました.なお,Bloomberg Technology Newsでも5分ぐらいの枠でETHのThe Mergeが紹介され...

イーサリアムのThe Merge進行状況 (5/28/202)

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はじめに 先週までは色々バタバタしてしまい,ETH DevOpミーティングを追えていませんでした.また今週からThe Mergeが完了するまで報告を続けたいと思っています.では今週のミーティング内容を見ていきましょう. ETH DevOpミーティング概要 6回目のメインネットでのシャドーフォークが5/31に計画されています。 https://twitter.com/abcoathup/status/1529303473493520384 RopsetenでTTDが最大値に到達したためにBeacon Chainのジェネシスブロックを生成始める前に上書きが行われるようです。ミーティングでは5月30日にビーコンチェーンをRopsten上で開始し6/8のThe Mergeへの準備を整えていきます。 https://notes.ethereum.org/@timbeiko/ropsten-ttd-override メインネットの実行レイヤー 通常の議論が終わった後に、Difficulty Bombの延期について意見を交わしていました.一番多い意見はやはり延期をすることで、2〜4ヶ月の遅延をしてはどうかと提案していました.中にはこのままでも問題ないと強弁してる人もいて結論はまとまっていません。ただし、ほとんどの人は延期に賛成なので、これから議論を継続(ほぼ延期する方向性)するけれどもE I Pを正式に立ち上げると言ってました。最初のプロポーザルでは最小値をとって2ヶ月で提案されるようです。 実装には1ヶ月ぐらいかかるのでメインネット用のクライアントのリリース(Paris)と同時に実装されると予想されています。 ちなみにこれを行わないとブロック生成時間が伸びていきU Xが悪化します。この許容値についても開発者の間でコンセンサスはないようで、人によっては30秒!でもガスフィーでカバーされるとか無茶苦茶なことを言ってました。ただ皆、U Xの悪化がもたらす弊害については過去の事例から認識しているようで,20秒までが限度であるというのが多数派のようです。 ちなみにDifficulty Bomb自体はこのままメインネット上で発動されるので,その前兆現象としてブロック生成時間の伸びはすでに観測され始めています。 そのほかはEIP-4844(プロトダンクシャーディング)やEIP-2537 (B...

Ethereumの大型アップデートThe Mergeとは

はじめに 下落相場で落胆している人たちが出だし市場は悲観モード突入ですが,こういった暗号資産の冬の時代には春に萌芽を付ける数々の技術的な開発が一気に進んだりもします.その中でも注目度からいったら今年最重要イベントといっても大げさでもないETHのThe Mergeが控えています.ここでは,The Mergeの簡単な説明をあらためて取り上げようと思います. The Mergeとは何か? 簡単に言ってしまえば,ETHの現在のコンセンサスアルゴリズムであるPoWをPoSへ切り替えることを意味します.The Mergeと呼んでいるのは現在PoSが走っているBeacon chainとPoWのメインのETHチェーンを統合してPoSへ完全に切り替えるためです.PoWとPoSについてはここでは詳細の説明を割愛しますが,前者は,マイナーと呼ばれる計算資源を提供する人たちが必死にハッシュ値を計算しその速度を競いあいながらネットワークのセキュリティーを維持するのに対して,後者はETH保有者がバリデータになるか持ち分のETHをバリデータに委任してネットワークの新規ブロックの書き込みを投票によって決定する仕組みと思ってもらえれば良いです. この切替には大きな意味があります.まずPoWでは大規模なGPUやASICをつかったマイニングファームによって大量の電気エネルギーを消費して取引承認(新規ブロックの承認と書き込み)を行っているためBTCほどではありませんがそのエネルギー消費量は無視できないレベルに膨れ上がっています.これがPoS方式に切り替わることで,ネットワークの取引承認やブロック書き込みにかかるエネルギーが99%削減できより低消費電力でセキュリティーを担保できます. PoSはまたそれまでPoWマイナーに支払われていた新規ブロックのリワード報酬をステーキングを行うバリデータ(ユーザーですね)に還元を行います.つまりETH保有者はステーキングに参加することで,ネットワークのセキュリティーを守ると同時にロックアップ期間中には数%程度の年利でステーキング報酬が受け取れます.ETHのビジョンを共有し,長期保有を行うユーザーにとっては非常に嬉しい仕組みとなっています. The Mergeはいつ行われるのか? この質問への簡単な回答は今年の8月か9月ぐらいということです. もっと長く回答するなら,ETH...