イーサリアムThe Merge 週間アップデート4月10日2022年
はじめに
先週のETH開発者の定例会議でThe Mergeの進捗状況が報告され,今週私の記事でも紹介しました.今週も4月7日に進捗状況の報告が行われ,議事録と会議の様子ともに4月9日にアップロードされました.
では,今週の開発進捗状況サマリーを見ていきましょう.
コンセンサスレイヤーの開発状況
Goerliテストネットでの3回目のシャドーフォークが行われ少数のgethクライアントに影響が確認されました.問題はクリティカルなものではなかったので,予定通り来週月曜日,4月11日にメインネットでもシャドーフォークが行われます.なお,メインネット上ではクライアントソフトの同期などの基本的な機能をチェックするのでトランザクションは行わないように注意喚起が行われていました(メインネットではシャドーフォークのチェーンとはいえ送信行為を行うとETHを消費するため).
次がメインのポイントで,ついに最後のパブリックテストネットにMergeのリリースを行うか,ディフィカルティーボムの延期を決めるかの決定を4 月29日の定例ミーティングで決定すると発表されています.私の予想はディフィカルティボムの再延期ですが,まだ決定事項ではありません.おそらくU T Cの4月29日のミーティングで最終決定されます.日本時間4月30日には結果が分かるでしょう.
PoWの停止に関する状況
あまり目立った議論はありませんが,再度クライアントソフトの多様性が重要なことの注意喚起が行われました.これはコンセンサスレイヤーとエクザキューションレイヤー両方で達成される必要があるとされています.ノード運営者への注意喚起なわけですが,何が言いたいかというとPoSへ切り替わることで,両方のレイヤークライアントの多様性が保たれていないと一つのクライアントがバグで停止すると一気にネットワークのバリデータがネットワークから外れてセキュリティーが低下することや,最悪クライアントのバグを悪用されてネットワーク上で自由にブロックを書き込める状況になってしまうためです.目安は一つのソフトが2/3シュアを超えないことで,大体67%のシェアを超えているとセキュリティーが保てないとされています.
現状は,Execution layerでgethのシェアが84.%を超えており,このままでは危険ということです.そこはcoinbaseやkrakenなどが運営するノードを調整することに合意しておりThe Mergeの本番までには改善されていくと期待されています.ちなみにEthermineもK Y Cが必要ですが,Stakingサービスを開始するようです.これはマイニングプール運営者の生き残り戦略で同様なサービスはStake.fishでも提供されています(創業メンバーは元f2pool).
セキュリティーアップデート
Inverse Financeが価格決定オラクルのバグを突かれ1560万ドルの被害が発生しました.こちらはあまり大きなニュースになっていませんが,流動性の低い通貨ペアが狙われたようです.
Convex Finance がバグの報告を行いこちらは報奨金プログラムで発見者に賞金が支払われました.
Revoke.cashのフェイクサイトが現れており,今後も警戒が必要です.このサイトはRevoke.cashとそっくりですが,手順にしたがって最後のステップを実行すると setApprovalForAll = Falseになる代わりにTrueをセットするというやばい詐欺サイトです.これはつまり全部の資産へのアクセス許可を与えることになりあとは適当なスマコンを踏ませればNFTやユーザー資産を盗み放題という仕組みです.見た目では区別がつかないので以下のTwitterスレッドをよく読んで注意して使いましょう.
https://twitter.com/0xquit/status/1511773105705783296
特にOpenSeaユーザーは注意してください.また個人的にはPolygon Web wallet V2のニセサイトを最近複数確認しています.こちらはURLがまず違っているのと接続時にシードフレーズを求められるので明らかに詐欺サイトであることが分かります.いずれにせよこれからも手法を変えてこの手の詐欺サイトは出現し続けるので気をつけましょう.基本はURLをチェック,プライベートキーが求められたら確実に詐欺なので絶対シェアはしない(シードフレーズも同様)、ハードウェアウォレットを使って長期保存用のコールドウォレットとして使う用途ではBlind署名もオフに設定しましょう(NFTの転送などの必要な時だけON).理想的には取引用途と長期Hodl用のウォレットを使い分けるのが良いと思います.Twitterのスレッドも運営から出されてもしばらく待って複数確認を取りましょう.
まとめ
来週月曜日に行われるメインネットでのシャドーフォークがMergeの最終的な日程を決定する可能性が高いです.その結果を踏まえて4月29日にディフィカルティーボムの再延期か予定通りに6月にMergeが行われるか決定されます.日程的にタイトになってきましたが,開発者はまだ6月末のThe Mergeを諦めていないようです.
いずれにせよ順調にいってもThe Mergeは2022年Q2の最終週で実行されるようなので,ニュースには注意しつつMerge後を見据えて機器のリニューアルや規模縮小を決定しようと思います.
また,NFTを持っている人やDeFiを利用している人たちは詐欺サイトに引き続き警戒する必要がありそうです.ここら辺はイタチごっこで対策が公表されるとそれをソーシャルハッキングのテクニックで利用してきます.攻撃者は複数の経路を使って常に攻撃の機会を窺っており,どこかに罠を仕掛けているかもしれません.引き続き警戒してください.
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