Avalanche House New York 2022参加報告
はじめに
最近ブログの更新が滞っておりましたが,しばらく国内,国外のイベント参加で飛び回っておりました.とくに先週の金曜日から私が最近注目しているAvalancheのイベントがNew YorkのBrooklyn地区で開催されたので今回は少し趣向を変えてイベントの参加報告を紹介してみようと思います.
久しぶりのNew York!
パンデミック前は当然のようにビジネスやバケーションで年に数回は訪れていたNew Yorkですが,今回はパンデミック後,初めて訪れました.クリーブランドからはDelta がLa Gurdianへ航空便を運行していますが,私はUnited ユーザーなのでNewark Intl空港を選択しました.マンハッタンまでのアクセスは空港からNJ Transitが運行する電車が走っていて,だいたい一人15.5ドルで空港からマンハッタン中心部に位置するPenn Stationまで行けます.
今回のイベント会場はBrooklynのヨットハーバー側に位置していたので,宿泊するホテルにとりあえず荷物を置き,Blue Bottleコーヒーで一服してからUberで移動しました.なぜこんな不便な場所で開催したかは後ほど説明するとして,だいたい朝6時の飛行機に乗り,11時半には会場へ到着しました.
Avalanche Houseへ到着
会場の100m以上前からわかるほどの派手な赤色のゲートとAvalancheのロゴが描かれた壁が目に入りました.受付を抜けるとさっそく本物のFormulae Eマシンが展示されていました.会場内ではソフトドリンク,アルコール飲料,食べ物など全部無料で提供されていました.セッションは予定通りには始まらずゆっくりと13時前あたりに始まりました.
私は昼食がまだだったのでフードワゴンでFalafelラップをもらってDiet Cokeと一緒に食べてました.屋外スペースには卓球台やFormulae Eのシュミレータ(なんと座面が動く本格的な油圧システムのやつでした)が置かれていて思い思いに楽しめるスタイルになっていました.
Formulae Eとのコラボレーション
Andretti・Formulae Eは, ABB FIAフォーミュラE世界選手権の8シーズン目を前に, タイトルスポンサーとしてAvalancheと提携したことを発表しました.複数年契約が締結され,これはブロックチェーン企業がFormulae Eチームとタイトルスポンサー契約を結ぶ初めてのケースとなります.このパートナーシップによりAndrettiは,スポンサーシップの資金調達のために,従来の米ドルでの支払いに加えて,Avalancheのネイティブ・トークンであるAVAXにアクセスすることができると発表されました.
かなりこの取り組みは本気のようで,Michael Andretti (アメリカのFormulaeレースでは重鎮)がわざわざイベント会場まで立ち寄ってドライバーも含めたトークイベントを行ったほどです.
Andrettiは資金調達手段としてAvaxが利用できますし,Avalanche側はFormulae Eを通してブロックチェーンの実利用とブランド力を獲得できると考えています.
これはお互いのプレジデントの発表文にもよく現れていました.実はAvalancheはPoS銘柄の中でもネットワークを維持するための消費電力が少ないというデータが出ており,それが持続可能性の考え方を共有するFormulae Eとマッチしたようです.これはお互いWin-Winなのではないかと個人的には考えています.
Formulae Eの決勝レース観戦
2日目は昼過ぎから開始で,最初はFormulae Eの決勝レースの観戦からでした.レース自体は残念ながら突然の雨による中断まで見ましたが,その後は通常のプログラムへ切り替わってました.AvalancheはAndreitte Racingとスポンサーシップ契約を結びかれらのマシン2台が出走していましたが,一台は雨天中止直前に多重衝突に巻き込まれていました.結果は,Jake Dennisが8位に入りポイントは獲得したようです.レース結果は公式ページから確認できます.
https://www.fiaformulae.com/en/results/race-results/
特に印象に残ったプレゼン内容
2日目の最後に行われた開発者本人によるブリッジとSnowmanコンセンサスアルゴリズムのプレゼンテーションが対照的でおもしろかったです.プレゼンの詳細はまあどちらも一般向けに工夫されてましたが,担当する技術者の性質が違っていて印象的でした.例えばコンセンサスアルゴリズムの担当者はバリバリのエンジニアでロジカルにプレゼンを淡々にこなしていく感じで,いかにもプロトコルの肝になるコア部分を担当しているトップエンジニアらしいプレゼンでした(彼はおそらくなぜここまで噛み砕いて説明しなきゃいけないのかと思っていたと思います).
一方でブリッジ開発の担当者は快活で社交的な印象で,ブリッジの技術的な部分も例を出しながらコア部分のコンセプトはちゃんと技術的な説明をしつつ楽しそうにプレゼンしていました.おそらくブリッジの部分はAWSやQuickNodeの担当者などと共同作業するのが求められるので対外的なコミュニケーションに普段からなれているのでしょう.すでに利用したことがある人は多いでしょうが,AvalancheはCore Walletのベータ版をつい最近リリースしており,その中の目玉機能であるトラストレスなBTCブリッジの実装の説明をしていました.BTCはスマートコントラクト機能や現在の価値を取得するオラクル機能が実装されていないためにそこを実装してくのが大変だったそうです.こういう内容の話を聞くとBTCにもTuring完全でなくてもスマコン機能を一部実装してみてはどうかなと思うところもありますが,そこはまだBTCコミュニティーの人々には理解してもらえないようです.
参加者とソーシャル
土地柄なのかNYUの卒業生2名と話す機会がありました.驚いたことに一人はPerformance Art専攻でNYのブロードウェイで実際にプログラムを作ったりしていたようです.試しにConsensus 2022で披露されたWeb3とクリプトがテーマのミュージカルを知っているかと聞いたら彼女も関わっていたプロジェクトのようでした.現在は友人とOPTビザ(大学を卒業時にもらえる短期就労用のビザ)を使って滞在資格を維持しつつPodcastで色々な暗号資産業界の業界関係者へインタビューを行ったりして生計をたてているようです.
他にはCoinbaseのセキュリティー担当者とも少し話ました.彼はベトナム系のアメリカ人でリモート勤務のようですが,扱う仕事の性質上あまり業務内容は話してくれませんでした.CoinbaseはCoinbase WalletやプラットフォームでAvaxに対応しているのでその関連でイベントに来ていたのでしょう.
最後にNFTアートを中心に扱うヘッジファンドの関係者と名乗る謎のアジア系アメリカ人とも話す機会がありました.彼は,Avalancheにはあまり価値を見出していないようでしたが,TezosやETH上で発行されるNFTアートを中心に投資を行っているようです.なぜレバレッジをかけていないのにヘッジファンドなのかとかそれは現代アートとしてNFTを転売目的で購入する画商ではないかとツッコミ入れたかったのは我慢しました.
Avalancheラボからのロードマップなど
大きな発表としてはCore Walletのモバイル版の発表でしょうか.これはiOSとAndroid版が開発中で一般への公開はまもなくのようです.
ほかはL2のスケーリングやIBCとの接続などの話もありました.AvalancheのCチェーン自体が非常に柔軟性のある設計になっているのでこれからも面白い試みを発表していってくれそうです.
まとめ
今回は急遽Avalanche Houseに参加する機会があり比較的距離も近いNYでの開催だったので参加してみました.それほど内容に期待していたわけではないのですが,実際にAvalancheを開発している人たちに直に会ってプレゼンテーションを聴けたのは貴重な体験でした.また憧れの存在だったレーシングドライバーと北米のFormulaeレースの重鎮であるMichael Andnrettiとそのチームメンバーに出会うことができたのは特に印象に残っています.
今回よくわかったのはAvalancheはETHとは競合する方向性を目指しておらず,Blockchain as a Service (BAS)を志向しているプロジェクトということの再確認でした.これは非常に重要な部分でVCが好んで使うETHキラーというのは個人的には飽き飽きしていました.やはりプロジェクトのビジョンがはっきりしており現実からの乖離が少ないものはマネージメントがしっかりしており好感が持てます.そしてそれを技術的にサポートするエンジニアリングチームがいることはAvalancheの大きな強みではないでしょうか.完全にAvalanche推しになってしまいましたが,個人的にCosmos のIBCとAvalancheがこれからも大きくプラットフォームとして伸びると確信しました.これからもこの2つは重点的に当ブログでも追いかけていきたいと思います.
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