Ethereumマージアップデート8/15/2022

 はじめに

前回の記事では,Goerliテストネットのマージアップデート日程が決定し,これが終わるとメインネットでのカウントダウンが始まると報告しました.そして先週には予定通りにGoerli上でマージが行われ無事に最後のパブリックテストネットでPoSへの切り替えが行われました.

これを受けて811日に行われたコンセンサスレイヤーでのミーティングでついにメインネットでのBellatrixepochと暫定的なTTD (Terminal Total Difficulty)の値の決定が行われました.ここではその詳細を見ていきましょう.

https://blog.ethereum.org/2022/08/12/finalized-no-36/

 

メインネットでのThe Merge

ETHではBellatrixParis2段階に分けてPoSへの切り替えを行います.

まず最初に行われるのはBellatrixと命名されているコンセンサスレイヤーのクライアントのアップグレードでこれがepoch 1444896 (9/6/2022)に決定されました.BellatrixとはBeacon Chain "Merge aware "にアップグレードしてバリデータがPoWチェーンを監視し,マージ遷移を開始するようにBeaconチェーンにマージのロジックを埋め込んでいます.Bellatrixは選択されたepochに起動されますが,それがレイバーデー休暇の96日に決定されました.これはepochで決定されているので大きく動くことはありません.

ParisEthereumメインネットのコンセンサスをPoWからBeacon ChainPoSにホットスワップするマージ遷移そのものです.Parisアップグレードは選択されたTTDで起動されます.

これは暫定値として58750000000000000000000が設定されました.

 

今週末にはTTDが最終決定

Parisアップグレードは採掘難易度がTTDに依存して発動時期が変化します.採掘難易度は現在のPoWのハッシュレートに依存するためにまだ若干調整の必要があるために今週まで待つことが前回のミーティングでの結論でした.これは817日付近と予想されるDAGサイズが5GBに到達する時期に急激なハッシュレートの低下が起きる可能性があるためで念のため最終決定を今週まで延期した形です.Jasminer X1など採掘効率が高いETHマイニング用に開発されたASICがそのあたりでマイニング不能になりETCあたりへ移行することが予想されていますが,正直どうなるかはわかりません.過去の例では4GBGPUが採掘不能になることもありましたが,その時には大きなハッシュレートの低下は観測されませんでした.

いずれにせよ今週末のDevOpミーティング後に最終的なTTDが決定されます. ターゲットになっている日程は919日より若干早まって915日になっています.

 

PoW-ETHをハードフォークする動き

すでに話題になっていますが,Justin Sunと彼がオーナーである老舗取引所PoloniexPoW-ETHのハードフォークをサポートすることを表明しています.先物トークンはすでにPoloniexで取引が始まっており,値段もついています.ただし,最初に発表されたホワイトペーパーが文字通り白紙だったこと,Githubに公開されたコードで致命的なブロックがLondonハードフォークまでロールバックされるバグが見つかるなど間に合うのかはいまだ未知数です.技術的にはDifficulty Bombを除くだけなのでそんなに難易度は高くないはずですが,開発者の能力の問題とテスト時間がほぼないことが致命的なように私は感じています.

ちなみにEIP-1559でバーンされるはずのベースフィーはハードフォーク後にコミュニティーDAOが管理するマルチ署名のウォレット(Gnosis Safe)に送信されるよう変更されます.すでにそのコードが見受けられます(line #818)

https://github.com/ethereum/go-ethereum/compare/master...ethereumpow:go-ethereum:master

Website:

https://ethereumpow.org/

最悪のケースは見切り発車でチェーンが致命的なバグで停止かロールバック,よくてもダンプされてすぐに大した価値ではなくなるでしょう.主な理由は,USDCUSDTなどの主要なステーブルコインがPoSETHを指示しているからで,思っていたほど混乱はすくなそうです(DeFiは全部PoS-ETH上でこのまま動き続ける).チェーン停止ならそのままプロジェクトは即消滅,うまく動いてもほとんどが売却されて存続はするかもれませんが,ETC以下のPoW銘柄になると予想しています.

 

まとめ

もうここまでくればETHのマージまではカウントダウンの段階です.私は915日あたりに想定される日程に合わせてシャンパンでも準備し,マージ当日は記念日をお祝いしようと計画しています.

 

コメント

  1. こんばんは。
    Panda Manufacturingさんの考えに共感し、過去の記事を参考にWEB3銘柄(ポルカドット、コスモス、イーサリアム)を購入しました。
    またハードウォレットを通じたステーキング等の設定も完了した所です。
    (ハードウォレットメーカの存在感が大きくなることを懸念しつつ…)
    さらに今日から日本の取引所でもアバランチとポリゴンの取引が開始されたので購入予定です。

    そこで質問なのですが、カルダノについてはどのような見解をお持ちでしょうか。
    カルダノに言及された記事を拝見したことがなかったので気になったものです。

    返信削除
  2. いつもコメントありがとうございます!
    今はどの銘柄も手頃な値段に落ちてきて将来性がある銘柄は仕込むのに最適な時期ですよね。ちなみにポリゴンは日本の取引所で購入可能なのはERC20トークンの方ですので、ETHのメインネットでステーキングするなら 問題ありませんが、Defiで運用する場合はブリッジ手数料がかかるので注意してくださいね。

    Cardanoに関しては私はあまり注目していません。開発速度が遅いのとまともなDAppが動いていないので現状は選択肢として入ってこないですね。

    今は最近発表されたCosmos2.0とETHのL2の本命であるZK-EVM, ZK rollupを中心に情報収集しているところです。

    返信削除
    返信
    1. ありがとうございます。
      現状、カルダノはアプリが少なくネットワーク効果が期待できないということですね。
      ポリゴンについては昨日、日本のSBI VCトレードが「ポリゴンネットワーク上のネイティブトークンのMATIC」と謳って取り扱いを開始した所です。
      しかしレイヤー2の本命はZK-EVM、ZK rollupとすると、ポリゴンではなくやはりイーサリアム自体を保有しておくほうが安定行動ですかね?

      削除
    2. なるほどSBI VCトレードがネイティブでPolygon上のMATICを取り扱い始めたのですね!それであればDeFi運用を始めるなら購入してみても良いかもしれません.Polygonネットワーク上でもWETHの形でETHを扱えるのでUSDCなどとペアを組んでLP供給するやり方もありますね.
      ZK-EVMとZK rollupはやっとベータ版がメインネット上で稼働する段階ですのでまだ様子見でも良いと思います.

      削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

ETHマイニング Phoenix minerの設定方法

ETHマイニング TeamRedMiner設定方法

CONBASEのレビュー