なぜSolanaとBNBへ投資を行わないか?

 はじめに

前回の投稿で,今年はDeFiへ本格参入すると紹介しましたが,そこで下調べした結果,SolanaとBNBは選択肢から外したと報告しました.ではなぜ自分はこの二つに投資しない決断に至ったか思考をまとめる意味で紹介します.

BNB (Binance Smart Chain)の不適格理由

私はブロックチェーン技術で最も大切な部分は分散性とセキュリティーだと考えています.これがインフラ部分を担当するレイヤー1チェーンの場合には最もコアになる部分でセキュリティー, 高い耐障害性, 耐検閲性を実現しています.これらはスケーラビリティーとトレードオフの関係にあって全てを両立することは現在の技術では不可能です.これはブロックチェーンのトリレンマとして有名で,“セキュリティー”,“分散化”,“スケーラビリティ”は同時に2つの要件までしか満たせないという理論です.ETHのレイヤー1はこのうち”分散化”と”セキュリティー”を満たすように設計されています.

その点でBinanceという発行主体が存在するBNBは不適格です.なぜならプロトコルの設計や運営にはBinanceとその利用者の意見が意図していなくても優先される可能性が高いからでこれは“スケーラビリティー”と“セキュリティー”を満たしていますが”分散化”が損なわれています.もちろんEVMとの互換性を備えたBSCは数年前までなら過渡期の妥協的な産物として許容されたでしょう.しかし現在,ETHはレイヤー2技術でスケーラビリティ問題をある程度解決できる目処が立ちました.こうなればわざわざBSCを利用しなくても同じようなユーザービリティーやコストでETH上で走るDappが利用できるようになっていくことが予想されます.それならわざわざ最も重要な分散性に問題があるB S Cを使う必要ないというのが私の考えです.ある種の思想の問題でもありますが,今はまだ過渡期でありますし,BSCの運営自体が完全なD A O運営に切り替われば状況は変わるかもしれません.

ちなみにXRPが不適格なのは上記の考えとほぼ一緒で,発行主体がRipple社という一つの民間企業であることが理由です.


Solanaの不適格理由

昨年最も勢いがあったのはSolanaではないでしょうか.メインネットが立ち上がるとあっという間に時価総額トップ10入りしてきたので驚いたのを覚えています.こちらはかつてないほどのスケーラビリティーとセキュリティー及びある程度の分散性を備えていて確かに革新的技術ではあります.具体的には超高速でPoSチェーンの更新が行われている状態でもProof of History (POH)によって各ノードの同期を正確に行うというものです.一見するとブロックチェーンのトリレンマ問題を解決しているように見えますが,実際にはその高いスループットゆえの弊害としてノードには高いハードウェアスペックが要求され”分散化”がある程度犠牲になっています.

例えば,ETHであればアーカイブノードでなければ以下のスペックのマシンで十分自分のノードを動作できます.

  • Fast CPU with 4+ cores
  • 16GB RAM
  • Fast SSD with at least 500GB free space
  • 25+ Mbps bandwidth 

なお上記のスペックは推奨であって最小スペックではありません.アーカイブノードでは,6TB程度の高速ストレージが望まれていますが,そう言った用途は過去のトランザクション履歴を参照する場合なのでかなり限定的で通常はクラウド上に構築されているノードをリモートアクセスで使うのが主流です. 以前は自分のWindows機でgo ethereumを使ってノードもローカルで運営していましたが,最近はAlchemyなどの無料プランを使っています.

一方でSolanaはどうでしょうか?以下がSolanaノードの最小要件です.

  • CPU 12 cores/ 24 threads or more
  • 2.8 GHz or faster, AVX2, AVX512f and SHA-NI instructions is helpful
  • 128GB RAM or more (mother board with 256GB capacity suggested)
  • PCIe Gen3 X 4 NVME SSD or better, 1TB ledger space, High TBW suggested
  • 300 Mbps bandwidth (minimum!), 1Gbps preferred.

ETHのLightノードであれば普通のデスクトップやノートP Cで十分ノード運営ができますがSolanaの必要スペックはハイエンドのゲーミングP Cもしくはサーバーやワークステーションクラスが要求されます.ちなみに私はマイニングと研究用にRyzen 9 5950のマシンに128GBのメモリを積んでいますが,このP Cでもほぼ最小要件を満たせている程度です(もちろん普通のマザーボードには256GBもメモリが積めません).大容量のメモリを扱う場合にはECCが必須でそれもさらにハードルを上げる可能性があります.ネットワーク要件に至っては,300Mbpsの双方向で1Gbpsが好ましいとなっています.米国ではハイスピードインターネットの普及が遅く個人宅でSolanaのノード運営するのは絶望的でしょう.クラウドで運営する場合にもコスト的にかなりハードルが高いです.

結局は高いスループットを要しているということはそれを処理するノードにも高いハードウェアスペックが要求されるということです.つまりはこれが障害となって分散性が損なわれるというのが問題だと私は考えています.また昨年何回かトランザクションの急増に耐えられずネットワーク全体が落ちるという一番やばい障害を数回起こしています.もちろんまだ開発中なのは分かりますが,オープンソース化されたのも割と最近ですし少し開発側の運営方針にも疑問があります.上記のような理由で私はSolanaへは現状投資することを見送りました.

まとめ

SolanaとBNBに関して自分が投資するには不適格な理由を説明しました.ここで投資不適格としているのは自分の最も大切にしている考え方に両プロジェクトが沿わないだけでそれぞれ現状E T Hメインネットワークの欠点を補う素晴らしいプロジェクトです.実際に私の場合は例外としてCOSMOSにも投資をしています.これは,Tendermintが開発するCOSMOS SDKが様々なプロジェクトで使われていることと,Polkadotとは違ったアプローチで異なるブロックチェーン同士をブリッジする役割を果たすのを主目的にしているからです.短期的にトレードで利益を狙う人,長期的に保持してロングタームゲインを狙う人,またプロトコルの運営に関わりたいなどモチベーションは人それぞれだと思います.投資は自己責任ですし,自分の狙いがあればSolanaやB N Bに投資するのは全然ありだと思います.ただし盲目的に有名人やみんなが投資しているから買うということだけはやめといた方が良いです.暗号資産自体がまだリスク資産とみなされているので,今のような不透明な世界情勢では激しい下落相場へ移行することも十分あり得ます.そういった時に自分のプリンシパルを持っていないと簡単に振り落とされて底値付近で資産を手放すことになります.どの投資分野でもそうですが投資するのなら余剰資金で自分である程度内容を理解してから始めましょう.


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