ETHの"The Merge"スケジュール予想

はじめに

皆様もニュースで見かけることが多いと思いますが,Ethereumは現在のPoWからPoSへコンセンサスアルゴリズムをマージするハードフォークが控えています.もともとのスケジュールでは2021年の12月にリリースされる予定でしたが,コンセンサスレイヤーのコーディングが終わらず,今年のQ2に延期された経緯があります.

さて,私はETHに投資しており保有暗号資産の7割がETHですが,同時にETHのマイニングも行っています.今年の収益性を考える上でPoSへの切り替えはビッグイベントでその予想時期を考察してみました.

The Merge

ETHが立ち上がった当時からもともとPoSへ移行することは計画されていました.しかし実装は思うように進行せず,何度も実装時期が延期されてきた経緯があります.ETHがこれからさらに発展していくためにはPoSへのコンセンサス・アルゴリズムの切り替えとシャーディングの実装は非常に重要なマイルストーンになります.

昨年末ぐらいから大きな進展があって,ついに2022年Q1で最終的なコードが完成しました.私は職業プログラマーではないので内容の詳細はわかりませんが,ここからテスト環境(テストネット)で多数の一般ユーザーに使用してもらってバグがないか確認を行います.先週の金曜日に無事Kilnテストネットが立ち上がりやっと最終テストが始まった段階です.
では,致命的な脆弱性は発見されていないのでしょうか?
実はすでに報告されていました.詳細は以下の論文に掲載されています.
コーネル大学のグループによる報告で内容は精査していませんが,ハッキング可能な脆弱性が見つかったと3月2日に掲載されています(これはテストネットがリリースされる前).しかし,ETHの開発者の対応速度はすさまじく,この脆弱性報告がなされてから数日でパッチの実装を終えてしまいこの論文で懸念される攻撃手法はもう防止済みのようです.とりあえず最終テストネットによるテストは現在も進行中です.

Kiln テストネット

いままではKintsugiと呼ばわれるテストネットでしたが最終版をテストするKilnテストネットが3月10日に立ち上がりました.Kintsugiは日本の伝統的な割れた陶器の修復手法(金を含んだ漆で修復する)から取った名前ですが,kilnは陶器などを焼く窯の意味です.メインネットでのリリースと同様に現在はこのテストネット上でPoWとPoSのビーコンチェーンが同時動作してこの記事執筆時点では後3日後ぐらいにマージされます(2022年3月17日以降に読まれた場合にはすでにマージはテストネット上で終わっているはずです).
当然ですが,かなり多岐に渡るテスト項目が開発者から提示されています.これを一般ユーザーも参加する形でテストネット上で既存のDAppを動かして確認していくわけです.全てが順調に進んだと過程して,これが2ヶ月ぐらいかかる予定です.すべてが問題なく進んで問題も見つからなかったとするとまだ6月には間に合う計算になります.しかし何事も予想していなかった小さなトラブルは発生すると思うので6月にリリースするのはスケージュール的に無理がありそうです.自分は 2ヶ月ぐらい遅れる可能性が高いと予想しています.
https://github.com/eth-clients/merge-testnets/tree/main/kiln
https://blog.ethereum.org/2022/03/14/kiln-merge-testnet/https://beaconchain.kiln.themerge.dev/

今後の"The Merge"シナリオ

Kilnテストネットが順調に立ち上がってもなにかトラブルがあればEIP-4345 (ディフィカルティーボム)の再延期を6月前に行う可能性が高いです.
その頃にはテストネットでの最終テスト結果は出ているはずなので次に発表される日程が正式なリリース日程になるでしょう.ETHマイニングを行っている人たちには朗報ですが,延期されても2 ヶ月ぐらいだと思うので今年中にETHマイニングが終わるのは確実です.私の予想時期は9月の中頃,レイバーデー休暇が終わった直後ではないかと想定しています.
テストネットで致命的なバグが見つかり対策に時間がかかる場合はさらに延期される可能性はあります.私はこのシナリオはだいぶ確率が低くなってきたと感じています(ETH開発者のバグへの対応スピードが尋常ではありません).

おわりに

ETHのBeacon Chain (ETH2.0) にロックされてステーキングされている総量は1000万ETHを突破したとニュースになっていました.現在の時価総額で270億ドル(3兆円超)がステーキングされていることになります.
ETHマイニング終了後は,他のコインのマイニングへ移るか,機材を売り払ってETHやBTCを購入する選択肢があります.ただETHマイニングの収益性が突出して高いので,中古機材をそのタイミングで売るのはリスクが伴います.私の場合は,一部の古い機材を売却して他のコインを規模を縮小した上でマイニングを続けると思います.どちらにせよNVidia のRTX3000 シリーズはGPGPU用途やゲームにも利用できるので,あと数年は様々な用途に使えるでしょう.AMDのRadeon系も私の場合はIntel Macがメインマシンなのでそれに外付けGPUとして使用するのと効率が良いカードは一部をマイニング用に残して古いもの(RX580 とVega)はたぶん売却します.その頃には中古GPUの売却価格はかなり安くなっているでしょうが,もう十分利益は出たので売却して現金化,最新ガジェットの購入資金にでも充てようかなと思っています.
ETHがPoSへ移行すると一気に新規発行量が減るはずなので,Bitcoinの半減期以上のインパクトが理論的にはあるはずです.その結果どういった値動きになるかはその時の世界情勢との兼ね合いですが,以前の弱気相場時ほど値下がりが起こらず,うまくレイヤー2によって需要を繋ぎ止められればむしろ上昇するのではと予想しています.

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