Polygon (MATIC) のステーキングとDefi体験

はじめに

前回の記事でETHのレイヤー2を提供するPolygon (Matic)を紹介しましたが今回は実際にステーキングとDefiで運用した経験をシェアしようと思います.ご存知の通り,私は主に米国居住者むけに許認可を得ているサービスしか使っておらず,税金の申告が面倒になるので海外の大手取引所であるBinance, OKEX, Bybitは利用していません.ここでは米国居住者がMaticをUSDで購入してなるべくネットワーク手数料をかけずにPolygonネットワーク上でDefi運用できる方法を紹介します.


Polygon (MATIC)のステーキング方法

まずPolygon(MATIC)をステーキングする場合には現在コストディアルなステーキングサービスは私の知る限り米国の取引所では提供されていません.そのためこの場合は,MetaMaskなど自分でプライベートキーを管理するタイプのウォレットからステーキングに参加する必要があります.もう一点注意することは,MaticのステーキングはETHメインネット上で実行されることです.つまり,Polygonネットワークのウォレットからはステーキングすることは出来ないのでERC20としてETHウォレット側にMaticを保持する必要があります.

この場合,MaticはETHメインネットワーク上で送金,入金を行えば良いのでCoinbaseやKrakenなどから直接利用することが可能です.尚,ステーキングを行う時にスマートコントラクトの形で取引が行われるので,使用予定のウォレットには必要なETH (余裕を見て0.08 ETHぐらい)が保持されている必要があります.

実際の手順は以下の通りです.まずPolygon walletのページにアクセスして自分のオンライン・ウォレットを接続してください.


次にPolygon Stakingをクリックしてステーキングを委託するValidatorを探します.ここでは,stake.fishを選択しました.ここは,f2poolの創業者が立ち上げたステーキングプールで信用度は比較的高い方だと思います(ただし判断は自己責任ですのでそこは自分で調べてください).Binanceのステーキングプールも存在してますが,commission feeは10%と割高です.

Commissionがステーキングリワードからステーキングプール側が徴収する手数料でstake.fishでは4%に設定されています.次のステップに進むため”Delegate”ボタンを押してください.


上記のように推定値での取引手数料が提示されるのでそのまま”Continue”を押して次へ進みます.

初めて取引する場合には上図のようにMaticへのアクセスを許可するか聞かれます.これも追加手数料がかかりますが,確認ボタンを押してください.

ステーキングを委任するのにはさらに取引手数料がかかります.Delegateボタンを押して次へ進みます.ここで取引の確認画面が表示されるので確認ボタンを押してください.

無事上記のステップが完了するとステーキングが始まります.
My Accountタブを選ぶと自分のステーキング状態が確認できます.時間が経過するとRewardが増えていくはずです.
ここまでやってみての感想ですが,ETHのガス代は少額でステーキングを始めるにはかなり高いです.今回の取引にかかった手数料を回収するには最低でも3ヶ月はステーキングする必要がありそうでした.もちろんステーキングするMaticの量が増えればETHのガス代の割合は減っていくので大口の人たちには問題ないのかもしれませんが,少額で始めるタイプの人には現状お勧めできないです.現在のETHメインネットワークの手数料を考えると1000ドル相当以上ならPolygonネットワークのステーキングはやる価値がありそうです.年率はステーキング参加率で変動しますが,10%ぐらいなのでHODLしながら長期間かけて増やすのには向いている方法です.

PolygonでDefiを体験(Uniswap V3で流動性提供)

Uniswap v3が昨年末にPolygonネットワーク上でもリリースされましたが,現在は流動性提供も一般に開放されています.ここではPolygonネットワーク上でDefiを利用する実例としてUniswap v3で流動性提供を行ってみた結果を紹介します.

まずは1:1の割合でWETH (Wrapped ETH)とMATICをPolygonネットワーク上のウォレットに用意します.私の場合は,EthermineからPolygonネットワークで払い出されたWETHを利用しました.
何かしらのブリッジを使う方法もありますが,手数料がかなりかかるのでオススメしません.注意点としては,米国の主要な取引所はまだPolygonネットワークでの払い出しに対応していません.つまりCoinbaseやKrakenではERC20の形でしかMaticを送信できないのでそれをPolygonネットワークに移すだけでかなりの手数料がかかるということです.ブリッジを使う方法もありますが,少額の場合は手数料が高いので注意が必要です.日本のユーザーであればBinanceが一番手軽でしょうが,米国居住者の場合はcrypto.com経由が一番手数料のかからない方法です.Crypto.comのモバイルアプリ上で銀行送金(ACHもしくはwire)によって指定された口座へ米ドルを入金し,Maticを購入します.初めて外部ウォレットへ送金処理する場合は,送金先のアドレスをホワイトリストに登録する必要がありその処理に24時間ぐらいかかりますが,一度登録してしまえばかなり安い送金手数料でMaticを直接Polygonネットワーク上のウォレットへ送金できます(0.08 Matic = 0.128 USDぐらいかかるので取引所が送金手数料を若干チャージしているようです).
ポイントとなるのはETHメインネットを経由せずにPolygon上で資産を扱うということです.このルールを守らないとかなり手数料を取られます.

さて,ここではWETHをUniswap v3でMATICにスワップして流動性提供を行う手順を紹介します.まずはUniswapにアクセスして右上の”Launch App”を押します.そしてMetaMaskなどこれまでと同様にUniswap V3へ接続します.この時,ドロップダウンリストに表示されているネットワークからPolygonを選択してください.そしてWETHとMaticペアを選択して”Swap”ボタンを押してからMetaMaskで処理を確認してください.


次に”Pool”タブを選択すると以下のように流動性プールの概要が表示されます(ここでは既に試験的に試した流動性プールが表示されています).


ここで”+New Position”を押して,流動性提供の設定画面へ移ります.


ここでは取引量がなるべく多いペアを選ぶ方が良いです.私はMATIC-WETHの流動性プールを選択しました.あとは流動性プールに提供する量を選ぶだけでその他の設定はデフォルトで問題ないと思います.Previewを押して取引を承認していきます.
上手く手順を進めていけば流動性提供の処理は完了します.そして取引手数料が徐々に入ってくると思います.以下のスクリーンショットは実際に流動性提供を10日間だけ試験的に行った結果ですが,ステーキングより若干良いぐらいの利率で推移しています.この場合リワードは取引手数料からの分配金になるので取引が活発になればそれだけ多くなるはずです.


おわりに

インパーマネントロスなどのリスクはありますが,Uniswap V3のPolygonネットワーク上で流動性を提供することでリワードを稼ぐことも可能になりました.ちなみにPolygon上での取引は手数料がものすごく安いので気軽に少額から試すことが可能です.一回当たりのガス代は0.007 Matic(約1 Cent)程度なので,ウォレットに1 Matic 残っていればほとんどの処理を試すことができます.このレイヤー2の技術によってETHメインネットワーク上では敷居が高かったDefiの世界を試すことができるようになりました.ただしプライベートキーは自己管理になるので,1000ドルを超えるレベルになったらハードウェアウォレットなどを使用することを推奨します.この記事に関連して,CoinbaseやKrakenからはPolygonネットワークに送金できない問題に直面し,急遽crypto.comのアカウントも開いたのでマイニング報酬と積立金で徐々に流動性提供の量を増やしていく予定です.あまりリスクが高い運用には手を出す予定はありませんが,今年はレイヤー2を利用してDefiの世界を体験していこうと思っています.



コメント

このブログの人気の投稿

ETHマイニング Phoenix minerの設定方法

ETHマイニング TeamRedMiner設定方法

CONBASEのレビュー