未来予想図 203X 年のある日常
203X年のある日
朝起きていつも通り朝食の準備に取り掛かる.いつも通りエスプレッソを飲みながらネットニュースを眺めているとBTCが市場最高値の更新を知らせるニュースが流れてきた.V R・A R技術の進歩と超レイテンシーで大容量の次世代ネットワークの普及によりリモートワークが当たり前になり会社のオフィスへ出勤するのは週に数回だ。今日は出勤日なので数年前に買ったE Vカーへ乗り込み出発する.完全自動運転に対応したE Vではオートパイロットモードに設定するとハンドルを握る必要もなく運転席に座ってもやることは車内のエンターテイメントシステムで直近のニュースと今日のスケジュールやメールの確認をしながら15分程度の通勤時間でオフィスへ到着した.
会社の駐車場では太陽電池から供給される電力でE V用の充電ステーション数台を用意されているが近所の充電ステーションに空きがあれば自分の車はそのまま自動的にその場所で充電を終えその後会社の駐車場に戻ってくる.もちろん充電料金の支払いはUSDCでも行えるが数10種類の暗号資産にも対応している.ちなみにE Vカーはインターネットに常時接続しユーザーが選択すれば停車中にB T Cのマイニングに参加することも可能だ。プロセッシングユニットの排熱はバッテリの熱交換にも利用され特に冬の時期は降雪を自動的に融雪できるのでなかなか快適だ.日常的な決済には米国政府のデジタルドルと民間主体のステーブルコインが両方使われておりクレジットカードもカード自体を持ち歩くことは少なくなってきた.
数年前から多くの米国人は退職金口座である401KやIRAに暗号資産を組み込むようになり,BitcoinやE T HのE T Fは2023年に現物スポット型がS E Cにより承認されると当たり前のように組み込まれるようになった.最近はDOTやPOLYGONなどをミックスした高利回りステーキングを配当としてもらえるE T Fも大人気だ.
勤務先ではデジタルドルかステーブルコインでの給与受け取りを選べるようになり,数年前から銀行口座とデジタルウォレットの境目はユーザーレベルでは気にならないぐらいユーザビリティーが改善され日常的に使えるようになってきた.
相変わらず国際送金では匿名での送金処理は規制さているがA Iによるブロックチェーン上の監視が簡単に行えるようになり個人や企業は合法的な手続きを行えば国内送金と変わらない速度(即日)で世界中ほぼ全てへ送れるようになってきた.
仕事終わりにいつも通りジムへ寄る,コーチングアプリの進化は素晴らしく,トレーニング動画を撮影してクラウド上にアップロードすると重心移動などの情報とフォームチェック,バーの軌道などをリアルタイムに解析してフィードバックが返ってくる.バイオセンシング技術の進歩でウェア内に組み込まれたセンサーで心拍数やトレーニング強度もモニターされて後で情報を見返すと自分のトレーニング成果を確認できて重宝している.リモートコーチングはこのシステムのおかげで実際に会うパーソナルトレーニング並みのクオリティーで指導を受けられるようになった.ちなみに会社が契約している保険会社はユーザーがデータ提供に合意すれば運動量を定量化しブロックチェーン上に記録、それらのデータを元にプレミアム割引を提供しているので会社の人事部もこのシステムの使用を従業員に推奨している.また保険会社が提供するアプリを入れると日々の消費カロリー目標をクリアするとポイントが溜まりそれらを暗号資産に交換可能になっている.こういった個人データは匿名化された上でブロックチェー上に記録されているがそういったビッグデータのアクセスは研究目的では無料で開放されており,こういったデータベースは糖尿病予防や保険金の支払額の削減に役立っているらしい.医療機関同士の診療データのやり取りはセキュアかつ迅速に行えるようになり主治医が代っても昔のように面倒な問診票を記入し直す手間がなくなったのはありがたい.
自宅に戻ると夕食の準備だ。今夜のメニューはサーモンのグリルとサラダだがどれもQ RコードやR F I Dが付いていてそれを読み込むとブロッックチェーン上に記録された産地と流通履歴が閲覧できる。このサーモンは数日前にフェロー諸島沖(北大西洋)で捕獲されて空輸されたものらしい。そういえば食後のコーヒーもネスプレッソのマシンで淹れたものだが,産地の追跡ができるようになっていた。普段はブレンドばかり飲んでいるが今日の物はメキシコ産のシングルオリジンで少し贅沢なやつにしてみた。そういえば知人のワインコレクターがNAPAバレーのK E N Z Oワイナリーの初期バッチをオークションで落札したと自慢していたが今ではボルドー産などの高級ワイン、特にヴィンテージの物はN F Tの形でデータが保存され現物とセットで取引されることが一般的になった。特に数10年以上のバッチでは保管履歴(温度、湿度、コルクの状態)がIOTセンシングの技術を使ってモニタリングされブロックチェーン上で管理されており,そういう情報をコレクターは重宝しているようだ.
夕食後は冬季でガレージに止めたままの愛車の86を自分で整備する。2012年に新車で購入したがもはやクラシックカーのカテゴリーになりE Vと自動運転が主流になった今、最低限の電子制御しか付いていないエンジン車でマニュアルトランスミッションかつ後輪駆動車は貴重な存在で、今でも趣味で時々乗っている.米国ではこういう旧車をレストアしつつ乗り継ぐ文化があり比較的人気があった車だけに今でも保守部品が手に入るのがありがたい.欧州や日本では排気ガス規制以上にそもそもガソリン車が販売中止になるようだ.
203X年のBTCは
2030年ビットコインは5回目の半減期後の上昇で1BTCの価格が100万ドルまで高騰した.マイニング報酬は1.56 BTCまで低下し98%採掘された状態だが,TSMCやIntelの半導体微細化技術などの技術革新により1nmプロセスが実用化、その最新プロセスで製造されたASICと再生可能エネルギーの利用によりゼロカーボンエミッションを達成しつつネットワークのハッシュレートは最高を記録し続けている.残り2%の採掘競争は熾烈だが,採算性はまだあるので世界中で個人,上場企業などがマイニングを継続している.なおインテルの最新プロセスの工場はオハイオ州の州都であるコロンバス郊外にあり,そこで最新のマイニングASICが出荷されている.
ビットコインは価値の保存手段として広く認められデジタルゴールドとしての地位を不動のものとする.取引手数料も大きく上昇したためほとんどの取引はBTCブロックチェーン上では直接行われなくなり,BTCを担保としてスマートコントラクト上にロックすることによって他のレイヤー1チェーン上でwrapped BTCとして日常的な取引に使用されることが一般的になった.
創始者と言われているサトシナカモトの保有する初期のBTCは時価総額で1兆ドルを超えて世界一の大富豪となるが未だにその正体は不明のままだ.
なお2030年ごろには既存の暗号化理論は実用的な量子コンピュータの登場により駆逐されるが,B T Cブロックチェーンはその数年前にすでに量子耐性を持つ方式へハードフォークを行いそのセキュリティーの堅牢性はさらに高まっている.
203X年のETHは
2022年の夏,ハードフォークによるMergeが実行されEthereumはコンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへ移行した.同時に新規発行されるETHが90%減少することによってインフレーションによる価格下落圧力が低下,一時は時価総額でBTCに匹敵するほど差が縮まった.2022年から本格的なレイヤー2の普及が始まりPoSとの切り替えも相乗効果を発揮し取引手数料は劇的に改善,ネットワークはさらに拡大していった.2023年にはついにシャードチェーンの実装が始まり,その後数も継続して開発は続けられている.
スマートコントラクトを使用したブロックチェーン上に築かれた決済、保険、銀行、サプライチェーンの管理,メタバースなどは徐々に普及していき気付いたときにはweb3.0を基本とした社会基盤として定着していた.2030年にはB T Cの半減期後の上昇サイクルに乗り,1 ETHは14万ドルに到達した.
なお,2022年夏以降はG P Uを使って個人でE T Hマイニングを続けるメリットがなくなり,事業として継続する企業でも撤退が相継いだ.その後は次々とG P UやC P Uなど汎用ハードウェアでマイニングを行える暗号資産が人気を集めては脱落していくのを繰り返すが,草の根のマイニング運動に助けられ一部の銘柄は203X年も特殊な用途で生き残っている.
おわりに
203x年を自分の目線から予想してみました.その頃にはブロックチェーンは社会インフラの一部として使用され,web3.0も完成形に近づいているでしょう.また次世代のweb4.0などの議論が行われているかもしれません.テクノロジーの進化速度は高度なAI技術を手に入れたことでさらに加速していき次々に社会へ応用されて様々な新興企業が生まれていくでしょう.
なお,上記のB T CやE T Hの価格予想が的中していれば自分はすでに早期リタイヤしつつパートタイムでフリーランスのエンジニアとして働いているかフリーの研究者として自由に世界中のラボを飛び回って研究三昧かもしれませんw.
コメント
コメントを投稿